薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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「木暮君!」
春菜が避けてと言う前に木暮は壁山の足に引っ掛かり、体制を崩してしまう。
そしてそのまま逆立ちし、脚にボールが引っ掛かり、遠心力で回転する。
ボールはゴールに入る事なく、木暮の傍に落ち転がった。
木暮の傍に真っ先に春菜が近寄り、身を案じる。
みんなが木暮に近寄ったりする中、数人がその胸の内に闇を抱えた。
「もっと完璧にならなきゃ、」
ポツリと吹雪が呟いたのを見た。
風丸が吹雪の言葉が聞こえたらしく、俯く。
『吹雪君、』
葵は声を掛けたがなんと言っていいやら。
「何?葵ちゃん?」
吹雪は直ぐに笑顔を浮かべた。
ああ、彼は周りに迷惑かけたくないなんて思ってるし、本当の事を言えずに周りに合わせて損するタイプの子だ。
優しい子。
そして何より誰かが傍で支えてあげなければいけない子だ。
声を掛けたはいいがなんと言おう?
大丈夫だよ...何が?
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