薔薇の秘め事

□薔薇の秘め事
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イプシロンが雷門に10日間の猶予を与えて去った夜。



『あれ、ヒロト?』



葵はヒロトを見付けた。



「また会ったね、葵。」



ヒロトはニコリと笑みを浮かべた。



『どうしてここに?』



精神的に参っている今、本当の葵を知っているヒロトの存在は新鮮で、ありがたいものだった。



「ちょっと用があったんだ。」



ヒロトは苦笑した。



葵は適当にふーん、とだけ相槌を打っておく。



「また悩み事?」



『半分当たり。とりあえず本当の自分を隠すのに苦労してる。』



何で分かるの?と付け加え葵はヒロトを見た。



「俺は葵の事よく知ってるからね。」



ヒロトは自慢気に言った。



『うん、ヒロトは私の数少ない理解者。』



ふと、以前奈良鹿公園で会った時の会話を思い出した。



『...ヒロト、1つ聞きたい事があるの。俺の所って何処?私がイナズマキャラバンから離れるようならそれは家出になっちゃうんだけど。』



葵は怪訝そうに言う。



イナズマキャラバンを離れるのは、どうしょうもない怪我か、豪炎寺のような境遇にあった時だけだ。







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