薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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私はここで、イナズマキャラバンで彼の帰りを待たなくてはいけないのだ。
それを思い出せば後少し、待ってみようと思えた。
それを後何回繰り返すか分からないが。
きっと必ず戻って来てくれると信じてるから、待っていられる。
一つ確実な事がある。
彼のハートが温かいと言う事。
だから待っていられるのかもしれない。
「そのうちわかるよ。」
ヒロトは葵が簡単にはイナズマキャラバンから離れないと分かると曖昧に誤魔化した。
それを葵はたいして気にはしなかった。
誤魔化しはいつも事だった。
ヒロトは話を変えた。
「それにしても本物の女の子みたいになってるね、葵。」
『いい感じでしょ?』
挑発的に笑みを浮かべる。
「うん、キスしたくなる程。」
頬に添えられた手があまりにも優しくて、それが本気だと知る。
『手、チークがつくよ。』
逃げたくて関係ない事を言う。
それをヒロトは知っている。
「なら、今はこれで我慢するよ。」
そう言ってヒロトは人差し指を葵の下唇に寄せた。
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