薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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ペトリとヒロトの白い指にグロスが付着し、葵の弾力のある下唇が歪む。
ヒロトの白い人差し指に付いたグロスの所為かそれが妙に艶かしかった。
聞いた話では羊水がピンク色をしていると聞いたことがある。
艶かしいと言えばそれが羊水と考えられなくもなかった。
だが比喩などいくらでもできる。
ヒロトは人差し指に付いたグロスを拭うように自分の唇に押し付ける。
それはそれで妙に艶かしかった。
葵はムラをなくすように唇を動かしてグロスに均等にする。
おかげで薄くなってしまった。
後一時間乾燥せずにいられるだろうか。
『それがキスのつもり?』
怪訝そうに言う。
「じゃあホントにしていい?」
迫ってくるヒロトに一歩後退る。
『ヘタレてる?』
「逃げ腰なのはそっちでしょ。」
ヘタレてるのはどっちだか。
グイッと腰を引き寄せられ、また距離が縮まる。
『グロスを私の服で拭いたりしないでよね。』
ヒロトは一瞬きょとんとした。
「そんな事しないよ。」
腰に回されたヒロトの左手の指先が左手脇腹の古傷を衣服の上から撫でる。
『欲求不満なの?』
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