薔薇の秘め事

□薔薇の秘め事
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葵は携帯を取りだし、慌てて直人にメールをした。



―――影山さんが脱走したみたいだけどそっちで影山さんの動きとかある?



返信は思った通り早く返ってきた。



流石直人だ。



―――影山ってあの影山か?いや、特にない。



―――良かった、楓や紗英にも聞いてみて。



葵が携帯から顔を上げ、小さく息を吐いた。



そして彼らの会話に耳を貸し始めた。



影山の悪行について話される。



「あいつは卑怯が服を着て歩いているような男さ。」



卑怯が服を着て歩いているなんてうまい例えだ。



『でも最初から卑怯だった訳じゃない。』



「アイツを庇うのか、葵。アイツはお前がサッカーを止めた根本的な原因じゃないか。」



鬼道の憎しみの隠った瞳が葵を捉えた。



『別に?ただそうやって全てを押し付けるのはどうかと思っただけだよ。有人を使って手中に納めようとしてくる超シャイな男は誰よりも汚さを見てきて現実的で不器用な男だっただけで、ただその対処法が強引で和解から離れているだけ。欲しいなら欲しいって素直に言えばいいのにねー。』



葵が冗談めかして言うものだから鬼道の怒りも何だか凄味がなくなる。



こうやって葵はストッパーとなるのだ。








懐かしい名前



(なんとなく、)


(予測済み。)








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