薔薇の秘め事

□薔薇の秘め事
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『逃げられても困るし。』



「逃げねェよ。」



不動の言葉も葵はどうだかと半分笑いながら言った。



葵は不動をみんなの元まで連れてきた。



「愛媛まで時間かかりすぎじゃねェ?」



不動は第一声に言った言葉は案外気に障る。



『気に障る挨拶どうもありがとう。普通はそこ、初めましてとかの筈なんだけど。』



葵は皮肉を返してやる。



鬼道は不動の言葉より葵が不動の手を握っている事の方が気になっていた。



「俺、不動明王って言うんだけどさ。俺の名前でメール送ったらここまで来たのかよ?響木の名前を出したからいろいろ調べて愛媛まで来る気になったんだろ?」



「そうね。貴方の目的は何なの?」



冷静に瞳子監督は対処した。



「アンタ等を真・帝国学園にご招待しようと思ってよ?」



不動は鬼道を見てニヤリと笑みを浮かべた。



「アンタ、鬼道有人だろ?真・帝国にはアンタの為のスペシャルゲストがいるんだ。」



スペシャルゲストだと?と鬼道は怪訝そうに復唱した。



「かつての帝国学園のお仲間さ。」



軽い調子で言われた言葉など信用出来るはずがない。



ましてや初対面の相手の話など。



「ありえない。影山の汚さを一番分かっている帝国イレブンがアイツに従う訳がない。」



キュッと拳に力が入る。



ありえない、と心の中で復唱して胸に広がるモヤモヤ感を抑え込んだ。



そうでもしないと今すぐに目の前の不動にこの拳を打ち付けてしまいそうだった。



「知りたければその目で確かめな。」



鬼道の様子を面白そうに眺めながら言う不動をやはり殴っておいた方がいいのかもしれない。






揺れ動くことのない彼



(影山の側にいるのには、)


(あまりにも不自然だった。)








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