薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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「今更遅いんだよ!」
佐久間はボールを蹴り、鬼道に当てた。
『有人!』
「大丈夫だ。それにこれは俺達の問題だ。手を出すな。」
『手を出すなとは言われたけど足を出すなとは言われてない。それに有人は私のボスじゃないから従う必要はない。つまり私が言いたいのは有人の意見は基本的に却下する。』
葵は言い切ると佐久間と源田を見据えた。
『有人は裏切ったんじゃない。私が有人をたぶらかして雷門に連れ込んだ。ただそれだけ。。有人は悪くない。』
「葵っ、やめろ!」
鬼道が弱く葵の肩を掴んだ。
葵の瞳と鬼道のゴーグルの奥の瞳が合う。
『いいの。それに私の方が本気で憎めるし、私はそれを真っ向勝負で受けたりしない。有人が謝ったって何も変わらないし。説得が無駄だと本当は分かっているんでしょ?』
葵は鬼道に小声で言う。
葵は佐久間をしっかりと見据えた。
『ぶっちゃけ言うと有人が君達を見捨てただとか、力が欲しくて悪の道に逸れただとかどうでもいいよ、私に関係ないならね。」
葵の言葉の裏を返せば眼中にないだとか自分には勝てないだとかにしか聞こえないだろう。
佐久間がグッと拳を握り締め、奥歯を噛み締めたのが葵には分かった。
かかった、そのまま憎しみを全て向けてみろ。
葵は言葉を続けた。
手を出すなと言われたのに関わらず、葵は佐久間が蹴ったボールを受け止めた。
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