薔薇の秘め事

□薔薇の秘め事
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「本気で思っているのか?」



『何の事?』



分かっているのか分かってないのかは判断出来ないが葵ならどちらとも有り得る。



「佐久間に羨ましいと言った事だ。」



ああ、その事ねと葵は納得したような顔をした。



『羨ましいなんて全く思ってないよ。』



「嘘を吐いたのか?」



『だから何?誰が好き好んであんな歪んだ人間になりたいと思うの?誰が好き好んで力の為に他を捨てるのっ?』



葵はその端正な顔を歪めた。



紫水晶の瞳には侮蔑の念が混じっていた。



「お前、佐久間の事嫌いなのか?」



『なんでそう思うの?』



葵は不快そうな顔をした。



「佐久間に対してだけ異様に冷たいじゃないか。」



『気の所為よ。』



葵は無表情にスッと目を細めた。



品定めする目に似ていた。



「本当に気の所為か?」



『間違いなく気の所為よ。』



ゴーグルの奥の紅の瞳と紫水晶の瞳がかち合う。



葵は顔を反らし、言う。



『...嘘。嫌いだよ。あんなの見てられない、未来の自分見てるみたいで反吐が出る。』



あんなのとは惨めと言う意味だ。



葵にとって失敗であり、失敗はくたばれと罵り、侮蔑し、拒絶するものだ。







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