薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
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「お前は佐久間みたいにはならない。」
『私を佐久間君みたいにはしない、じゃなくて?』
葵はチラリと鬼道を一瞥した。
「お前は他人にとやかく言われて揺らぐような人間じゃないだろ。」
一瞬葵の瞳が揺らぐ。
本当は凄く動揺する。
他人を批判し、自分を棚上げて自分の方が実力があると誇示している愚かな人間だ。
それに気付かないのは多少なりに葵自身に実力があったが故だ。
『...そう、だね。』
葵は自嘲するように小さく笑った。
『それにしても流石天才トラブルメーカー。有人と関わるとろくなことないよね。』
葵はわざと明るい声で嫌味を言い笑った。
葵自身この話題から離れたかった。
こういう時こそ笑え、だ。
「そう、だな。」
鬼道は笑わない。
笑えない冗談だった。
『他人が自分の所為で傷付いた事の罪悪感に囚われアンニュイになってる?』
他人が傷付くのを見て自分が傷付いたり、罪悪感に囚われるのはいやだ。
気分が悪い。
鬼道はゆっくりと言葉を選ぶように口を開いた。
「昔、影山に言われた...。葵をものにしろと...。」
サッカーで勝つ為に葵という強い選手が影山には必要だった。。
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