薔薇の秘め事
□薔薇の秘め事
1ページ/4ページ
愛媛で真・帝国との試合を終えたイナズマキャラバンは東京の稲妻町まで戻ってきた。
イプシロンとの試合まであと一週間。
葵はお見舞いついでに足の怪我を病院で見てもらうことにした。
痛みはほとんど無いし、サッカーに支障はない。
ただ、この程度の怪我とも言えないものが意外にも長続きしたのが意外だった。
円堂に葵は用があると言って誤魔化し、円堂と別れた。
待合室で名前が呼ばれるのをひたすら待つ。
予約なしと言うのは実に退屈で時間の浪費になると思った。
20分待たされてやっと名前が呼ばれた。
診察室に入れば中年男性。
私の掛かり付けの医者だ。
数少ない私の性情を知る人間で数年前の私の腹部の傷の手当てをしたのも彼だ。
「お久しぶりですね、先生。」
葵は優美な笑みを浮かべた。
「最近疲れてないかい?」
先生は第一声に言った。
挨拶がないのも大して葵は気にはしない。
葵はすぐ傍にあった回転椅子に座った。
『ええまあ、それが何か?』
疲れていて当然だ。
何しろホルモンバランスが崩れかけている。
「やはりね。痛みはどのくらい続いている?」
先生はファイリングされた紙を見ながら言った。
.