薔薇の秘め事

□薔薇の秘め事
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『3日前怪我して、途中サッカーやったりした。あんなのいつもなら1日で治った筈なのにね。今はもう殆ど痛みはない。ただ治りが遅いから思っていたよりも酷いかもと思って。』



葵と先生の仲に他人行儀の愛想笑いは必要ない。



勿論皮肉も言いまくる。



先生はキーボードを指で打ち、画面に文字を入力する。



入力する文字の羅列は私の事だ。



「回復力が下がったみたいだね。疲労の所為で治りが遅くなっている。それに悩み事もよくない、ストレスになっている。」



先生は葵に向き直り、言った。



先生の口からはすらすらと言葉が出てくる。



まるで母親の説教みたいだ。



そしてどこかセラピーのようだった。



『まるで心を読んだみたいね。』



葵は椅子に深く座り直した。



「何を悩んでいるんだい?」



先生は言う。



『うわ、直球ですね。』



葵は胸の前で腕を組んだ。



腕を胸の前で組んだりするのは隠したい事があるからだ。



先生はそれを見て口を開いた。



「悩んでいるんだね?」



『...かまかけたんですか、酷い人。』



医者の癖にと内心毒吐く。



「人は嘘を吐く。いつも正直でいてもらわないと正しい治療が出来ないからね。」



先生の言っている事も分からなくはないが、それがかまをかける事が葵との間に必要かどうかは謎だ。





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