刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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鬼道の首にはうっすらと紅い跡が残っていた。
時が癒してくれるだろうが、それよりも早く誰かに気付かれるだろう。
「有人...ごめん、ごめんね」
涙は鬼道から目を逸らしながら言った。
「申し訳ないと思っているならこっちを見ろ、俺を見ろ」
涙は両頬を鬼道の両手で挟まれ、強制的に鬼道の顔の方に向かされる。
「有人、」
揺れる涙の瞳と睫毛。
「俺は責めてない、大丈夫だ。見捨てたりしない」
涙は目を見開いた。
鬼道はゆっくりと涙に唇を寄せた。
触れるだけのキス。
「それに、首輪みたいいでそそるだろう?」
鬼道はニヤリと笑みを頬に湛えて言った。
意地悪そうな笑みだった。
涙はただ力なく微笑むしか出来なかった。
赤い首輪
(ねぇ、その首どう誤魔化すの?)
(キスマークじゃないから絆創膏じゃ無理だよ?)
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