刹那、涙に死色の紅桜

□刹那、涙に死色の紅桜
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「テメェまた岩瀬に手出したらしいなっ!!」


いきなり掴みかかってきた染岡はそう言った。


「手なんて一度たりとも出してないよ」


涙は無意味と分かっていながらも事実を言った。


「嘘吐け!岩瀬はお前に襲われたって言っていたんだぞ!!」


だが信じてもらえない。


それは勿論分かっていたがなんか切ない。


もし本当に襲われたのならこう学校に来れるとは思えない。


大体襲われたのは私の方だ。


まぁそれも有人との一件で彼女程度の奇襲には免疫がついてきた。


「それっていつの話?」


「今日の昼休みの時だ」


「は?嘘だね」


「岩瀬は泣いていた!襲われたのは事実だ!!」


「泣けば信じるの?」


信じるのではない、信じている。


その証拠に染岡は涙の胸倉を掴み、今にも絞め殺そうとしていた。


自称男性恐怖症より、染岡を今この場でスタンガンを押し付けないかどうかの方が心配だった。


「いじめよくない、カッコ悪ーい」


語尾に星がつきそうなノリで言われた言葉に染岡は顔をひきつらせた。


「岩瀬を苦しめる奴を放っておけるワケねェだろ!!サッカー部には来んな!」





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