刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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涙が鬼道を見ればちょうど制服を脱いでいるところで。
「ぁ、」
声を洩らした時にはもう遅く、鬼道と目が合う。
「何だ」
「え、あ、いや、別に」
慌てて視線を反らす。
鬼道はニヤリと口角を上げ、涙にわざと近付いた。
「照れてるのか」
「なっ、そんなんじゃっ!」
そんなんじゃないし、と言いきる前に触れる唇。
「有人っ!ここ部室っ...!」
「それがどうした」
「人が入ってきちゃうっ!」
「構わない、見せ付けてやれ」
強引に奪われる唇。
「ん、」
頭では理解していても押し返せなかった。
学校だということがより涙を興奮させる。
口では嫌がるも実際はそれほど嫌ではない。
だからと言って見られたい訳じゃない、見られるかもしれないという緊張感がいいのだ。
「他人の姿をした私に興奮してる?」
「ああ」
短い返答と共に再び口付け。
毎回思うがキスが好きなようだ。
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