刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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鬼道と帰り道の途中、視線を感じた。
職業柄こういうものにすっかり敏感になってしまっていた。
誰?
学校関係か、不審者かそれとも...?
涙は袖に隠してあったナイフを握った。
刹那殺気を感じ、直感的に鬼道を庇ったのと同時に銃声がした。
倒れ込むと同時に涙はナイフを銃声のした方へと投げた。
視線は直ぐに気配と共に消えた。
「有人、大丈夫?」
「ああ、俺は大丈夫だ...」
鬼道が涙を見上げれば涙は左肩を押さえてい、鬼道を押し倒すように覆い被さっていた。
涙の指を紅い血が伝う。
「涙っ!?大丈夫か!?」
「うるさい怒鳴らないで。撃たれたんだから大丈夫な訳ないでしょバカ。なんて顔してんの、こういう時くらい野外プレイか?とかなんとか言って笑わせなさいよ」
涙は口悪く暴言を吐くと鬼道から身体を離した。
涙は唇を噛み締め、痛みに耐えるように顔をしかめた。
「バカはお前だ!今救急車をっ!」
「やめて!!」
涙は携帯を取り出した鬼道の手を空いている手で掴んだ。
「やめて、救急車はダメ!」
救急車なんて呼ばれたら警察まで呼ばれてしまう。
そんなことされたらたまったもんじゃない。
「だがしかし!!」
「平気。自分で治療くらいできる」
涙はゆっくりと立ち上がった。
「何処へ行く気だ」
「鬼道を家送ってから自分の家で治療する。分かっていると思うけど窓には近付かないでね」
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