刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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涙は先程狙っていたであろう場所の方に歩いていった。
きっとなにか残っているはずた。
そうでなくてもお気に入りのナイフは見付けなくては。
「待て、それじゃあお前が...、治療なら俺の家でいいだろ」
「道具とかあるの?」
それを言えば鬼道からの返事は無かった。
つまりはないと言うことだ。
「なら道具は用意させるしかないね」
涙はやっと木に刺さったナイフを見付けた。
しかし残念な事に当たっていなかったらしく、血も服の繊維もついていなかった。
しかし手掛かりがない訳じゃない。
足元には薬莢が転がっていた。
流石の犯人もそれを拾う事が出来なかったようだ。
涙はそれを拾い上げ、ポケットティッシュで包み、ポケットティッシュと一緒に左ポケットに仕舞い込んだ。
代わりに携帯を取り出し、発信履歴から彼の名前を探した。
ワンコールで相手の声が聞こえた。
『桜か?』
「肩を撃たれた。道具を用意してもらえる?」
『...治療はいいのか?』
「自分で出来るから大丈夫」
涙は道具を鬼道の家に持ってくるよう指示し、電話を切り、ポケットに戻した。
「行くよ、有人」
涙は肩を押さえ、早歩きで歩き出した。
帰り道の奇襲
(さて、犯人はどうしてやろうか?)
(まぁ、雇い主もろとも潰してやろうか。)
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