刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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言い訳は既に用意した。
言い訳も嘘も得意技だ。
問題ない。
グラウンドで練習している彼ら。
涙はゆっくりと彼らの方へ歩み寄る。
「貴方、この間の...、」
「お久しぶりです」
涙はニコリと上品に笑った。
涙だってこういう笑い方くらいできる。
「そ、その制服は超お嬢様学校白百合学園の制服...!」
少し興奮した様子で音無は言った。
「今日はちょっと話があるんです」
涙は曖昧に言った。
取り敢えず練習を中断して集まったサッカー部。
「私の名前は佐倉涙。皆さん佐倉泪はご存知のはず...」
それを聞いて彼らが息を飲んだのがわかった。
同じ苗字と言うからには血縁関係を想像したはずだ。
「安心してください私は彼との関係を血縁関係とは言いません」
血縁関係でないと聞いて安心する者数名。
そして血縁関係でないと言うならば何だろうかと言う疑問がわく。
涙が泪だと知っている鬼道は話の内容を予め予測することが出来た。
涙は口元に笑みを湛え、言った。
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