刹那、涙に死色の紅桜
□刹那、涙に死色の紅桜
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「...彼こそ私自身なのですから」
なんでもないようなニュアンスが何だか内容と合っていなくて違和感があった。
問題のある発言どころか地雷級。
「言っとくけど二重人格とかじゃないから」
涙は一度瞼を閉じた。
そして空色の瞳が岩瀬魅麗を捉えた。
涙はゆっくりとした歩調で岩瀬に近付いた。
涙は一瞬だけ鬼道と目が合ったような気がした。
「岩瀬さん、僕が君を苛めた理由ってなんだっけ?」
涙は泪の様に少し声を低くして言った。
その声で完全に涙が泪と一致した。
信じられなかったが認識することが出来た。
魅麗は何も答えず俯いた。
「確か僕は岩瀬さんにフラれたから襲ったんだよね?僕は同性愛者になった覚えはないなぁ」
嫌味っぽく言う。
自分でも悪役みたいだと思う。
まぁ私は基本悪役キャラが好きだけどね。
「ごめん、なさい...」
続く言葉がないか待つが全くない。
ただひたすら気まずい沈黙だけ。
「それはつまり自分の非を認めるって事だね?」
魅麗は二、三度小さく頷いた。
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