狂愛
□狂愛
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『私お兄ちゃんの事一番好きだよ。』
"一番好き"。
その言葉にとても嬉しくなった。
ああ、自分が一番なんだと。
でも同時に妹は自分以外を知らないと言う事に気付いて、虚しくなった。
そう言う風になってしまったのは自分の所為だと言うのに。
「緋美、ダメだよ。僕としちゃいけないんだよ。」
『なんで?』
「家族だから...血が繋がっているからだよ。」
『それでも私は構わない。私後何日生きられると思う?どうせ死ぬんだったら、してから逝きたい。何も知らずに死ぬのはいやなの。』
ほらまた魔法の言葉を...。
妹が"何も知らずに死ぬのはいやなの"と言えば僕は実行せざるを得ない。
それを妹は知っていてやっているのだろうか?
いや、きっと知らないのだろう。
僕は妹の唇にそっと僕の唇を重ねた。
桃色の牡丹と彼女の唇が同じ色だった。
魔法の言葉
(ああ、なんて罪深いのだろう。)
(僕は妹の無知さを利用した。)
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