SMILE5

□幸せそうに
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「何だって!?」
「だから!それはやめたいというのが、俺と作家の共通した意見です!」
勢い込んで食って掛かるのは、月刊エメラルドの一番若い編集部員。
横澤は「ああ?」と声を荒げて、彼、小野寺律の顔を睨みつけた。

律が担当する作品のアニメ化が決まった。
そしてその作品の新刊コミックスが発売される。
そこでコミックスは2種類のものを発売するという案が出された。
通常版と限定版。
限定版は30分、アニメ放送に換算すれば1話分のDVDがつく。

この手法は今までアニメ化された他の作品でもやっており、成功していた。
付録の話はテレビ放送されず、DVD化されても収録されない。
しかも販売数も限られている、まさに限定版だ。
値段は通常版より3000円以上も高いが、ファンからの人気は高かった。

「この『プレミアムアニメDVD付き限定版』というのは、反対です。」
ここは販促−販売促進のための会議の場だ。
専務取締役の井坂や、営業は横澤、そして他の関係部署の人間も何人かいる。
エメラルドの編集長、高野もいた。
そんな中で律は、横澤が作った販売戦略に真っ向から反対してきたのだ。
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