SMILE5

□泣き笑い
1ページ/5ページ

エメラルド編集部をファンシーにリリカルに飾る小物たち。
ぬいぐるみや置物に混ざって、淡いピンク色の箱がある。
材質はプラスチック。
中央には月刊エメラルドのマスコット「ティンクル」のステッカー。
その上薔薇の花のシールやネイル用のラインストーンで飾り立てられている。
その箱の正体は−−−救急箱だ。

俺は何でこんなことをやっているんだろう?
ラインストーンをピンセットで貼りながら、さすがの高野もそんなことを思った。
でもこれは仕事だ、必要なことだと言い聞かせながら、細かい作業を続けた。

エメラルドに限ったことではないが、やはり締め切り時期は忙しい。
何日も帰宅できないし、体調も悪くなることだってある。
ギリギリの状態でやっているので、少々の怪我や体調不良では抜けられない。
だから救急箱は必需品だ。

そして編集部に置く以上は、かわいい物に仕上げなくてはならない。
無味乾燥で無粋な箱など、エメラルド編集部には置けないのだ。
一度決めたからには、絶対に手を抜かないのは高野のポリシーでもある。
気の遠くなるような作業の果てに、編集長渾身の力作が誕生した。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ