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□第一章
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 《1》

 空が青い−−−。上を見上げながら、ずっとこんなんだったら良いなって思ってたりする。だから、今日みたいな穏やかな日は、とにかく…… 寝たい。

〔そなた、こんな所で寝ると、妾の背から落ちるぞ?〕

「わ、分かってるよ!」

ヴィアンカが睡魔を追い払ってくれたおかげで、私はなんとか地面に落ちずにすんだ。


  地面に落ちる?


そう、私は今、相棒のドラゴンに乗って大空を飛んでいるのだ。


    何故?


それは、私が竜騎士だから…かな。
 眠気覚ましがてらに、自分の自己紹介を心の中でしてみようと思う。
 私の名はフィナ。外見は紅髪、褐色の瞳で、よく仲間に童顔とかほのぼの系等と言われてる…。が、戦闘中の私は全くの別人とも言われた事があったっけ。
 現在、私は自分が生まれた国、ルトリシアの竜騎士として、相棒のレッドドラゴン・ヴィアンカ(♀)と一緒に、日夜、ルトリシアのために戦っている。


 何と戦っているのか…


それは、モンスターや敵国の兵士だ。この世界には、人間以外にも、モンスターや魔獣、精霊、竜等が存在している。精霊や竜は、一部を除いては人間に友好的なんだけど、モンスターや魔獣は人間を襲う厄介な相手だ。例外もあるけどね。
 でも、それよりも厄介なのが、我が国以外にも、この大陸に存在するもう一つの国・エストの兵士だ。モンスターよりも知恵がある人間が相手だと、力任せでは勝てない…。そういえば、私と同じ竜騎士が一人いると噂があるが、まだ見たことがないな。まあ、私とヴィアンカには適わないけどね。
 この説明で、大体分かると思うけど、現在、ルトリシアとエストは戦争中だ。この大陸に、二つしか国がないのに、お互いの目的のために戦っている−−。

 そうそう、私の家族の紹介。私の父は軍師で、ルトリシア国王・ラクル王の臣下として使えている。あと、私のおばあちゃんは…

〔フィナ、そろそろ目的地に着くぞ〕

ヴィアンカに、そう言われて辺りを見舞わすと、家々の灯りが見えた。ふと、また空を見上げると、赤くなり始めているのに気が付いた。もう、こんなに時間が経ってたんだ。

「おっけ〜!じゃあ、ゆっくりと下降して」

 そして、私を乗せたヴィアンカは目的地のルトリシア西部にある村・ピピカの外れに建っている小さな家に着地した。
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