企画

□ロボットにも心を
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そうして本棚を片付け終わると綱吉は会社に行く準備をする
雲雀は家でできる仕事(パソコンで出来る仕事)をしているため、滅多に外には出ないが綱吉の見送りに今回は少しだけ外に出てくれた

「あの…これつけてくれませんか?」

綱吉が取り出したのは先ほどの指輪だった

「つけようと思ったんですが、なかなかつけられなくて」

苦笑いをして、雲雀に渡すと雲雀は微笑んで
「いいよ…」

と言って綱吉の首に腕を回して留め具を填める
綱吉はその行動に真っ赤になったまま
そっと雲雀の暖かさを感じた

そして、つけ終わったのか綱吉から離れた

「それでは、行ってきます。雲雀さん」

「うん、行ってらっしゃい。綱吉」

歩く綱吉はちらちらと雲雀の方を見ながら進む

見えなくなる所までくると、どこか寂しさが胸いっぱいに広がる




そして、電車やバスを使い会社に着く

「おっ、ツナ!こっちこっち」

呼ぶ声に綱吉がそっちに向けば
大きく手を降って綱吉を呼ぶディーノの姿があった

「ディーノさん!!」

綱吉は駆け寄る

「お疲れ様、ツナ」

頭をくしゃりと撫でられ綱吉は微笑む

「もう、いつ騙していることがバレるか怖かったんですよ」

「ごめんなぁ、まぁ、外で話すのもなんだし中に入るか」

「はい」

ディーノの後ろに綱吉は着いていった

「よし、ここで聞こう」

簡易のソファーとテーブルが置いてある部屋に綱吉とディーノが向かい合って座る

「で、恭弥の様子はどうだった?」

「健康そのものですよ、それに1人暮らししているからか大抵のことは出来ますし…」

綱吉はディーノに訊かれた事
それ以外にも雲雀と暮らしていて何があったか楽しかったことなどを話した

「そうか…上手くやれているようだな」

ディーノはホッとしたように息をつく
そして、バツが悪いようにディーノが話を切り出した

「あのな…ツナ、いきなりで悪いんだけどな」

「え?」

綱吉は耳を塞ぎたかったが、いつか訪れるモノが早めに来てしまっただけの話で
素直にディーノの言葉に耳を傾ける





雲雀は、部屋で時間を気にしながらも仕事をしていた

一時間、二時間…
刻々と時間が過ぎるほどに不安になる

今はもう会社に着いているのだろうか
長引いているのだろうか
それとも…

悪いことを考えすぎないように雲雀は指輪を取り出す
実はあの指輪は対となっていて
2つで1つの指輪となるのだ

『……必ず戻ります!!この指輪と一緒に』

その言葉を信じて、雲雀は待っていた
綱吉が『只今帰りました!!』と焦りながらも玄関のドアを開けることを


だが、その日がすぎても綱吉は帰らなかった

雲雀は、次の日その会社に行こうとしたが…止めた

信じているから
必ず戻ってくると綱吉が言った言葉を

綱吉が会社に行って2日後
玄関のチャイムがなった

「恭弥〜〜!いるかぁ?」

鳴らしたのはディーノだった
雲雀は無視する

チャイムがもう一度鳴る
それをまた雲雀が無視すると

ガチャ

「無視すんなよなぁ」

ドアを開けて、膨れっ面でディーノはそう言った

「あのね…僕は貴方なんかに構っている暇なんてないんだけど」

ディーノの方も向かず机に向かっている雲雀にディーノは『仕方ねぇーな』と呟いて

「お前んとこにいたロボットの」ダンッ

話を切り出した瞬間、体が壁へ押し倒される

「なんで貴方が綱吉のこと知ってるの…?」

いつの間に立ち上がったのかトンファーを喉元に押し付け殺意を込めた瞳睨まれ、ディーノは一瞬怯んでしまったが
綱吉の話題を出した瞬間に目を合わせた雲雀にディーノは少し驚いた

「オレがそいつの事を知ってるのはな、最近オレが『ボンゴレ』に一時的に異動したこと知ってるだろ?」

「知らない」

即答で返されたディーノはガクッとなったが体制を立て直し

「それで、オレらが作ったあのロボットをサンプリングのためにお前のところに送ったんだ」

「ふぅん、貴方の仕業だったんだ」

喉元に納まるトンファーにだんだんと力が込められていく

「で、綱吉は?」

無表情で聞いてくる雲雀にディーノはポケットから何かを取り出した

「取り返しのつかない故障が見つかったため処分することとなった…これはアイツからお前にって預かってきたものだ」

ディーノの手のなかにあるそれは綱吉が出掛ける前に雲雀が渡した指輪

「それと、『ごめんなさい』と綱吉が言っていた」

ディーノから雲雀が指輪を受けとると指輪をギュッと握りしめ

「ねぇ、僕が言いたいのはそうじゃない。綱吉はどこにいるの?」
そう言って睨み付けた

彼が初めて僕の家に来たとき
とても嫌だった
勝手に押し付けないでよとかいらないとか思ってた

だけど、家事の知識がないのかそれでも一生懸命やろうとしている彼の姿が面白くて…可愛くて


過ごしているうちにずっと一緒にいられるのかと淡い想像もして
なんてバカなんだろう

彼と居られる時間は決められていて
そして、僕はまだ彼に何も伝えていない
小さな気づきさえも


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