Infinite Stratos:Re
□第六夜
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◇
六月。
最近の俺はテンションが少しばかり高い。
何故なら漸く俺の部屋が完成したのだ。
これで睡眠時間が増える。
そんな俺は今ベッドに寝転がっていた。
……そういえば、今月だったか? 学年別個人トーナメントは。
学年別個人トーナメント──文字通り学年別のトーナメント戦。これを一週間かけて行う。 正直やる気が起きないが、全員強制参加だ。
IS対決トーナメント戦と言えば、先月のクラス対抗戦は例の襲撃事件でうやむやのまま中止され、そのことに関しては箝口令まで敷かれた。
特に直接戦闘に関わった一夏、セシリア、鈴、箒、そして俺は誓約書まで書かされた。
……とりあえず。
晩飯に行くか。
弾みをつけてベッドから起き、そのままの勢いで立ち上がってドアに向かうと、
「──涼夜、いる?」
ノックと今では聞き慣れた声が。
「涼夜?」
「……何だ」
ガチャリとドアを開けると、そこにいたのは案の定、鈴だった。
「一緒に夕飯に行かない?」
一夏のセカンド幼なじみからのお誘いが来るとは……。
「あァ、俺も行こうと思ってたからちょうどいい」
「そうなんだ、なら良かった」
鈴と並んで歩き出す。ちょうど夕飯の時刻だからか、寮生がちょくちょく部屋から出てくる。
しかしまァ……ラフな格好の女子が多い。俺は男と見られていないのか?
「お。碧海君だ。ヤッホー」
「ええっ!? あ、碧海君!?」
俺と鈴が一緒に歩いていると、俺を見つけてぶんぶんと手を振る布仏とそのお友達。
「やー、あおみん」
「うぃす」
あだ名に関しては諦めた。
彼女には何を言っても、のれんに腕押しってやつだ。
「そーだ、私とかなりんと一緒に夕飯しようよ〜」
「抱きついてくるな」
こいつは何かと会う度に抱きついてくる。
そして無理矢理引き剥がそうとすると、泣きそうな表情を見せるから質が悪い。
「残念、涼夜はあたしと夕飯するの」
「わー、りんりんだー。勇気が出そうだね〜」
「そ、その呼び方はやめてよ!」
布仏の呼び方に非常に反応する鈴。
何か嫌なことでもあったんだろうか。
「え〜。可愛いのに〜。ね、あおみん」
ここで俺に振るのか……。
「……お前のお友達がいなくなってるがいいのか?」
「おわー。ほんとだーいないー」
先ほど、自分の腕で体を抱くように隠しながら廊下の先へと走っていった。
「あー……待って〜」
そして布仏もどこかにぺたぺたと走っていく。……遅っ!
「……」
「何だ?」
「涼夜ってさあ、何? モテてんの?」
「からかわれてるって思うのは俺が歪んでるのか?」
「……ま、いいけどね」
ジトっとした視線を受けたが、とりあえず食堂を目指し歩き始める。
◇