Infinite Stratos:Re

□第八夜
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 六月も最終週。
 今日からは学年別トーナメントだ。
 全生徒が慌ただしく、雑務や会場の整理、来賓の誘導をしている。


「しかし、すごいなこりゃ…」


 更衣室のモニターから観客席の様子を見、一夏が呟く。


「三年にはスカウト、二年には一年間の成果の確認にそれぞれ人が来ているからね。一年にはあまり関係ないみたいだけど」


「まァ、一年でも上位者にはチェックは入るだろ」


「ふーん。ご苦労なことだ」


 興味なさげだな。お前だって無関係じゃないのに。


「一夏はボーデヴィッヒさんとの対戦だけが気になるみたいだね」


「まあ、な。……自分の力を試せもしないってのは、辛いだろ」


 ……セシリアと鈴のことか。
 相変わらず優しいねェ。
 トン、と一夏の胸に拳を当てる。


「あまり感情的になるなよ? ……常に冷静に。それでいて熱く。矛盾してるが、俺の言いたいこと判るな?」


「ああ、クールに最強、だろ?」


 俺は笑みを浮かべ頷く。


「シャルル、一夏を頼む。知っての通り、半人前だからな」


「うん、任せてよ」


 シャルルに、頼もしいな、と笑いかける。


「じゃあ、俺も相棒の所に行かせてもらう。──良い戦いを」



 俺はそう言い放ち、更衣室を後にした。












 涼夜がいなくなった更衣室。


「結局誰と組んだんだろうね、涼夜」


「うーん。箒じゃないとしたらのほほんさんかな?」


「のほほんさんって……布仏さんだよね?」


「案外仲いいんだぜ? あの二人」


 ふーん、と興味なさそうに返すシャルルだが、内心穏やかではなかった。


(涼夜は布仏さんが好きなのかな……言われてみると相性もいい気がしてきた……)


 布仏に抱きつかれる涼夜は、いつも最初は抵抗するが最終的に涼夜が折れている。最近は抵抗すらも減ってきている気もする。


(布仏さんにだけやけに弱いし……)


 シャルルはそう考えるが、一夏や箒達、当然シャルルにも弱い。


「とにかく当面の目的はラウラだ」


「あ、うん。そうだね。……彼女はおそらく一年の中では現時点で最強だと思う」


「え?」


 一夏の疑問は涼夜のことだろう。


「涼夜は打鉄だからね。専用機があれば間違いなく涼夜が最強だよ」


「ああ、そうか。……あれで量産機なんだよな……」


「一夏?」


「あ、ああ。いや、何でもない」


 一夏は改めて自分が憧れ、目標とする存在の大きさ、自分と彼の距離を感じていた。


「っと、そろそろ対戦表が決まるぞ」


「あ、本当だ」


 モニターがトーナメント表に切り替わった。
 二人は食い入るように見つめる。

「「──え?」」


 出てきた文字を見て、一夏とシャルルは同時にぽかんとした声をあげた。
 一回戦の相手はラウラ、そして──涼夜ペアだった。







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