Infinite Stratos:Re

□第十三夜
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「──俺の勝ちだ」



「ああ、オレの負けだな」



 俺の持つ刀は師匠の首筋ギリギリで止められていた。
 辛勝だった。
 互いに傷だらけな体を無理矢理動かして戦っていたため血だらけだ。



「ぶはーっ! 負けちまったー!!」



「……使徒座〈ハーデス・アポストリカ〉使ってないくせによく言う……」



 お互いにぶっ倒れながら言う。



「まあ、お前の答えも聴けたし、万事OKか」



 無視か。



「まったく。二人とも精神世界だからって無茶し過ぎだ」



 呆れた様に笑いながらフルカネルリ手をかざすと俺達の傷が一瞬で消えていった。
 すげェな……。



「──リョウヤは自分の両親のことをどれくらい知ってる?」


「え?」



 自分の……両親?



「もう死んでるってことぐらいしか……」



 それくらいしか知らない。
 そして両親のいなくなった俺は監禁され、師匠が俺を助けた。
 それしか。



「時間も少ないから端的に言うと、リョウヤのお母さんとオレは友人だった」



 それは確かに驚きなんだが、両親のコトは記憶にないので実感がわかない。



「彼女は希代の巫女でね、未来視の力に優れていた」



「……あ……だから俺がISを動かすというコトを知っていた?」



 フルカネルリが頷く。



「もっとも、見ることができるのはバラバラな時間軸らしいけど、それでもリョウヤがISでの戦いの中で、魔具を扱う連中と戦うのは解ったんだ。だからオレはタバネに頼んだ」



「だけど何でフルカネルリがそんなことを?」



「……約束だったんだ。それにオレもリョウヤを助けたいと思っていたし」



 約束? ……母とか?
 ……それに、もしかしてフルカネルリは子供の頃の俺と逢ったことがあるのか?



「なんて言ってもリョウヤはオレが初めて抱いた赤ん坊だったからね。………懐かしいなぁ、あの時はパラケルススがリョウヤをとりあげたんだけど──」



 パラケルススが!?
 え、なに? あいつ産婦人科的なことも出来るのか!?



「あー、あの時のユウカナリアは凄かったな。産まれた涼夜を見て『生きてるみたーい』なんてとんでもないこと言い出したからな。オレはあいつにお前を抱かせないようにしたんだよなァ……」



 師匠、あんたもいたのかよ!?
 しかも、生まれたばっかで俺は命の危機にあったえるのか!!


「……つまり神景、フルカネルリ、ユウカナリア、パラケルススは俺の出産に立ち合ってのか」



 肯定する二人を見ながら思考を巡らす。
 まァ、ユウカナリアが俺を知らなかったのは想像つく。どうせ忘れてんだろ。
 パラケルススは……あいつは余りそういうのは教えてくれないからな。



「……そろそろ鵺哭についても話さないとな」



 フルカネルリが口を開く。



「鵺哭は第四世代型特殊戦闘用のISで、この特殊戦闘って言うのは対魔具戦のことだ」



 第四世代……つまり、『パッケージ換装を必要としない万能機』ね。
 まァ、フルカネルリと束さんならソレくらい余裕だろう。



「鵺哭の場合、基本装備〈プリセット〉と拡張領域〈バススロット〉に三種類の用途に応じた武装が量子変換<インストール>されていてね」



 フルカネルリが展開させたモニターに目を向ける。
 どうやら、移動特化の万能型、遠距離の型、近距離の型の三種類があるようだ。
 武器の数は多くはないが、装備が見たことないようなものばかりだ。
 それに特殊演算システムなんてのもある。



「クセのあるものが多いが……リョウヤなら使いこなせるさ」


「……それは置いといて。これ強すぎじゃないか?」



 これはおかしい。
 強力過ぎるのだ。
 その分、いまフルカネルリが言ったように使いこなすのは難しそうだが。



「それは大丈夫。普通のISと戦う場合は制限がつくから」



 制限?



「ま、例を挙げるなら削るエネルギー量が極端に小さいんだ」



 今まで黙っていた師匠が口を開いた。



「元々ソレはオマケだ。お前が知るべきなのはこの次だ」



 師匠が言うや否や、フルカネルリは今までのモニターを全て切り替えたのだった。







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