Infinite Stratos:Re

□第一夜
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 パアン! という音が響く。
 音の原因となる俺は一瞬何が起こったか判らずにいたが、すぐに頭に広がる痛みに呻く。



「ッ、今のは……効いた……!」


 頭を押さえながら正面にいる叩いた張本人を見やる。



「話を聞いていたか、馬鹿者」



 トーン低めの声。ちなみに容姿は黒のスーツにタイトスカート、すらりとした長身に狼を思わせるような鋭い吊り目。このクラスの担任である織斑千冬がそこにいた。


「全く、貴様は。その様子だと、聞いていないようだな」



 話どころか貴女の存在にすら気付きませんでした、とは口が裂けても言えない。


「……なんですか?」



「自己紹介だ。さっさとせんか、馬鹿たれ」



 山田先生が若干涙目になっているのを見、凄まじい罪悪感を感じる。



「さっき紹介してもらったから───」



 再び響く、パァン! という音。
 言うまでもなく、俺が叩かれた訳だ。
 ちなみにコレ、殺気がないから非常に避けにくい。



「やれ」



 無言で頭を押さえる俺を見下しながら、織斑千冬は言った。



「……さっきも言ったが、碧海涼夜だ。ここに来る前は池袋の学校に通っていた」



 立ち上がり皆に向かって言う。
 が、さて。他は何を言うか……。
 @趣味はハッキングです。パス。
 A奪還屋をやってました。パス。


「嫌いな人は折原いざっ!?」



 三度目。
 パアン! という音が響いた。



「自己紹介で嫌いな人を言うやつがあるか」



「……苦手な人は折原しまい゙っ!?」



 四度目。
 流石に挫けそうだった。



「嫌いな人と五十歩百歩だ、馬鹿者」



 なら何を言えと言うのだろうか。そもそも自己紹介する様なコトがない。



「……十七歳だけど、あまり気にせず接してくれると嬉しい……。まァ、よろしく」



 結局、趣味等は省き無難な自己紹介を終えた。
 ただ、自己紹介の間、自分を除いて唯一の男子生徒である織斑一夏と、女子生徒の一人である篠ノ之菷が驚いた表情でこちらを見ていた。
 まァ、久々に逢うわけだしな。そりゃ驚くか。






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