Infinite Stratos:Re

□第三夜
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「よォ、待たせたな。オルコット」



「っ──あら、逃げずに来ましたのね」



 セシリアは俺の雰囲気に飲まれかけ、冷や汗を流しているようだが気にすることではない。
 今のアイツは敵だ。そして戦闘は既に始まっている。



──



戦闘待機状態のISを確認。



操縦者:セシリア=オルコット。



ISネーム:ブルー・ティアーズ


戦闘タイプ中距離射撃型。



特殊装備有り。



──



 ハイパーセンサーに表示される敵の情報。
 それを一度も読むことなく、ウィンドウを消す。
 ブルー・ティアーズ、イギリスの第三世代IS。四枚の特徴的なフィンアーマーを背に従え、それを纏っているオルコットの手には大型BTライフル《スターライトmkV》が握られている。
 俺は右手に近接ブレードを出し、片手で構える。



「こっちの準備は終わりだ。いつでも来い、セシリア=オルコット」



「中距離射撃型のわたくしに近接格闘装備で挑むなんて……笑止ですわ!」



──



警戒、敵IS操縦者の左目が射撃モードに移行。セーフティのロック解除を確認。



──



「御託はいいから来い……!」



「っ、なら遠慮はしません!」



──



警告! 敵IS射撃体勢に移行。トリガー確認、初弾エネルギー装填。



──



「さあ、踊りなさい。わたくし、セシリア=オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲<ワルツ>で!」



 キュイン! というライフルからBTレーザーの発射された音。
 それを身体を軽く反らし回避する。
 そんなことをどれくらいこなしただろうか。



「ではそろそろ終曲〈フィナーレ〉と参りましょう」



 ここで漸く、オルコットの背のフィン状のパーツが分離、独立機動兵装が此方に向かってきた。
 オルコットの機体のこの兵器の名称はブルー・ティアーズ。機体名もブルー・ティアーズ……ややこしいな。



「……」



 四基のビットが放ってくるレーザーの隙間に自分をねじ込むようにして回避していく。
 オルコットはこのビットを操作するのに集中力が必要だから、コイツらで攻撃してきてるときは他の攻撃は来ないようだし。



「ど、どうしてあたりませんの!?」



「……判らないのか?」



 機体性能に差があるのは確かだが、お前は焦り過ぎだ。もっと冷静に操作したほうがいい。ビットが無駄な動きをしてる。
 そもそも、俺がまだ一回も攻撃をしてないことに気がついているのか?
 “出来ない”じゃなく“してない”ことに。
 ……さて、一夏に策は出来たかな?






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