Infinite Stratos:Re
□第三夜
2ページ/8ページ
◇
「よォ、待たせたな。オルコット」
「っ──あら、逃げずに来ましたのね」
セシリアは俺の雰囲気に飲まれかけ、冷や汗を流しているようだが気にすることではない。
今のアイツは敵だ。そして戦闘は既に始まっている。
──
戦闘待機状態のISを確認。
操縦者:セシリア=オルコット。
ISネーム:ブルー・ティアーズ
戦闘タイプ中距離射撃型。
特殊装備有り。
──
ハイパーセンサーに表示される敵の情報。
それを一度も読むことなく、ウィンドウを消す。
ブルー・ティアーズ、イギリスの第三世代IS。四枚の特徴的なフィンアーマーを背に従え、それを纏っているオルコットの手には大型BTライフル《スターライトmkV》が握られている。
俺は右手に近接ブレードを出し、片手で構える。
「こっちの準備は終わりだ。いつでも来い、セシリア=オルコット」
「中距離射撃型のわたくしに近接格闘装備で挑むなんて……笑止ですわ!」
──
警戒、敵IS操縦者の左目が射撃モードに移行。セーフティのロック解除を確認。
──
「御託はいいから来い……!」
「っ、なら遠慮はしません!」
──
警告! 敵IS射撃体勢に移行。トリガー確認、初弾エネルギー装填。
──
「さあ、踊りなさい。わたくし、セシリア=オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲<ワルツ>で!」
キュイン! というライフルからBTレーザーの発射された音。
それを身体を軽く反らし回避する。
そんなことをどれくらいこなしただろうか。
「ではそろそろ終曲〈フィナーレ〉と参りましょう」
ここで漸く、オルコットの背のフィン状のパーツが分離、独立機動兵装が此方に向かってきた。
オルコットの機体のこの兵器の名称はブルー・ティアーズ。機体名もブルー・ティアーズ……ややこしいな。
「……」
四基のビットが放ってくるレーザーの隙間に自分をねじ込むようにして回避していく。
オルコットはこのビットを操作するのに集中力が必要だから、コイツらで攻撃してきてるときは他の攻撃は来ないようだし。
「ど、どうしてあたりませんの!?」
「……判らないのか?」
機体性能に差があるのは確かだが、お前は焦り過ぎだ。もっと冷静に操作したほうがいい。ビットが無駄な動きをしてる。
そもそも、俺がまだ一回も攻撃をしてないことに気がついているのか?
“出来ない”じゃなく“してない”ことに。
……さて、一夏に策は出来たかな?
◇