Infinite Stratos:Re
□第三夜
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「このブルー・ティアーズを初見で、耐えるだけではなく、捌ききるなんて初めてですわ」
ビットが全部俺を囲むような形になり始めてきている。
どうやら個々でやるよりビットで俺を囲み一斉射撃で避けられないようにすればいいと考えたようだ。
だが悪いがビットの弱点……ビット自身の制御で精一杯でその間オルコットはビームライフルで攻撃できないということは判ってる。
そしてビットが徐々に俺を囲む形ができ始めているなか俺は避けながら──加速した。
「なっ!?」
(瞬時加速!?)
瞬時加速〈イグニッション・ブースト〉とはISの後部スラスター翼からエネルギーを放出、その内部に一度取り込み、圧縮して放出する。その際に得られる慣性エネルギーをして爆発的に加速するものだ。
瞬時加速の速度は使用するエネルギーに比例するが、エネルギーは余裕。
使用中は加速に伴う空気抵抗や圧力の関係で軌道を変えることができず、直線的な動きになるが、それも問題なし。
「っおあいにく様、ブルー・ティアーズは六機あってよ!」
知ってるよ。
俺は左手に短刀をニ本出し、弾道型のブルー・ティアーズに投擲する。
投擲された短刀はブルー・ティアーズに直撃し爆発を起こした。
「きゃああっ」
爆発でエネルギーを削られながらも四機のブルー・ティアーズを自らの方へ回収しているのは評価対象。
だが遅い。
三発程拳を叩き込み、ブレードにより突きをかます。
オルコットの悲鳴が止まらないのは非常にやりずらい。
「くっ、この!」
突きにより少し距離が出来て安心したのか、体勢を立て直そうとするオルコット。
ブルー・ティアーズがこちらを向くが……。
「切り裂け烈空!」
再び瞬時加速で距離を積める。
「裂空刃!」
上下左右から飛び交うは疾風の如く斬撃。
乱れ飛ぶ刃から逃げること等、オルコットには出来る由もなかった。
『試合終了。勝者──碧海涼夜』
決着を告げるブザーが鳴り響いた。
◇