Infinite Stratos:Re

□第四夜
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(来い……!)



 一夏の手のひらから光が放出され、収まった頃には《雪片弐型》が握られている。



「遅い。0.5秒で出せるようになれ」



 その言葉にがくりと首を下に向ける一夏。



「オルコット、武装を展開しろ」


「はい」



 オルコットは、さっきの一夏よりも早く狙撃銃《スターライトmkV》を展開する。



「さすがだな、代表候補生。──ただし、そのポーズを止めろ」


 織斑先生が指摘したのは、左手を肩の高さまで上げ、真横に腕を突き出す格好だ。



「横に向かって銃身を展開させて誰を撃つ気だ? 正面に展開できるようにしろ」



「で、ですがこれは私のイメージをまとめるために必要な──」


「直せ。いいな?」



「──……はい」



 反論の余地なし。
 当たり前のことだし仕方ない。
 あァいや、俺達のような機工魔術士〈エンチャンター〉にとってイメージとかは大事なんだが。



「オルコット、近接用の武装を展開しろ」



「えっ? あ、はっ、はいっ!」


 何かを考えていたのか、反応が鈍るオルコット。
 銃器を光の粒子に変換し『収納〈クローズ〉、そして新た近接用の武装を『展開〈オープン〉』する。



「くっ……」



「まだか?」



 だが、さっきの一夏みたいに中々形にならず、光が空中にさまよっている。



「す、すぐです。──ああ、もうっ! 《インターセプター》!」



 武器の名前を叫んで武器を展開する。
 ちなみに、これは教科書の頭の方に書かれている、いわゆる『初心者用』の手段だ。
 これは、代表候補生であるオルコットにとっては屈辱的だろう。



「何秒かかっている。お前は、実戦でも相手に待ってもらうのか?」



「じ、実戦では近接の間合いに入らせません! ですから、問題ありませんわ!」



「ほう。碧海と織斑には簡単に懐を許していたように見えたが?」


「あ、あれは、その……」



 オルコットに睨まれた。
 なに? 俺が悪いとでも言うのか?



「時間だな。今日の授業はここまでだ。織斑、グラウンドを片付けておけよ……碧海もだ」



「え」



「授業中にイチャついた罰だ」



 わざわざ俺にだけ聞こえるように近づいて来て言う。
 先程のアレがイチャついてる様に見えたんなら眼科行け。
 バシン! と一発。



「分かったか?」



「了解」



 一夏以外のみんなが戻るかと思いきや、何故かオルコットが、タイミングを見計らったかのように俺の方に来た。



「あなたのせいですわよ!」



「あ?」



 いきなりそんな事を言ってくるオルコット。



「あ、あなたが、私に飛び込んでくるから……」



「近接武器しかないのに接近するなと?」



「せ、責任をとっていただきますわ!」



「……会話が噛み合ってねェぞ」


 そんな不毛な会話をどうにか終わらせて、俺と一夏はグラウンドを直しにかかる。



「……土、どこだっけ?」



「さァ?」



 これは難航しそうだ。







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