Infinite Stratos:Re

□第五夜
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 どうにか二人を落ち着かせた俺は、鈴に問い掛ける。



「鈴、一夏に話があるんだろ?」


「う、うん……ありがと。……で、一夏。反省した?」



「へ? なにが?」



「だ、か、らっ! アタシを怒らせて申し訳なかったなーとか、仲直りしたいなーとか、あるでしょうが!」



「いや、そう言われても……鈴が避けてたんじゃねえか」



「あんたねえ……じゃあなに、女の子が放っておいてって言ったら放っておくわけ!?」



「おう」



 即答だった。



「なんか変か?」



「変かって……ああ、もうっ! 謝りなさいよ!」



 雰囲気が悪くなってくる。
 焦れたように声を荒げ、髪をかく鈴。



「だから、何でだよ! 約束覚えてただろうが!」



「あっきれた。まだそんな寝言言ってんの!? 約束の意味が違うのよ、意味が!」



(意味が? 豚を使った沖縄料理か? それはミミガー)



「くだらないこと考えてるでしょ!?」



 どうやら幼馴染みだけあって、一夏の観察は慣れているようだ。



「あったまきた。どうあっても謝らないっていう訳ね!?」



「だから、説明してくれりゃ謝るっつーの!」



「せ、説明したくないからこうして来てるんでしょうが!」



 不毛だ。
 もはや、この学園に来て何度脳内で呟いたか判らない溜め息をつく。



「じゃあこうしましょう! 来週のクラス対抗戦、そこで勝った方が負けた方に何でも一つ言うことを聞かせられるってことでいいわね!」



「おう、いいぜ。俺が勝ったら説明してもらうからな!」



「せ、説明は、その……」



 一夏を指差したままのポーズでボッと赤くなる鈴。
 本当こいつらテンションに流されるな。
 どんだけ売り言葉に買い言葉のオンパレードだよ。



「なんだ? 止めるなら止めてもいいぞ?」



「誰が止めるのよ! あんたこそ、アタシに謝る練習しておきなさいよ!」



「なんでだよ、馬鹿」



「馬鹿とは何よ馬鹿とは! この朴念仁! 間抜け! アホ! 馬鹿はアンタよ!」



 そして、一夏は言ってはいけないことを言ってしまう。





「うるさい、貧乳」





 ドガァァァァンッ!!! と、いきなりの爆発音、そして衝撃で部屋全体がかすかに揺れた。
見ると、鈴の右腕はその指先から肩までがIS装甲化していた。
 おォ! 部分展開ってやつか。
 ちらりと壁を見ると、直径三十センチほどのクレーターができている。



「い、言ったわね……。……言ってはならないことを、言ったわね!」



 ぴじじっとISアーマーに紫電が走る。



「い、いや、悪い。今のは俺が悪かった。すまん」



「今の『は』!? 今の『も』よ! いつだってアンタが悪いのよ!」



 今のは、なァ?



「ちょっとは手加減してあげようかと思ったけど、どうやら死にたいらしいわね……。いいわよ、希望通りにしてあげる。──全力で叩きのめしてあげる」



 最後に、鋭い視線を一夏に送ってから、鈴はピットを出て行った。


「……パワータイプですわね。それも一夏さんと同じ、近接格闘型……」



 真剣な眼差しで壁の破壊痕を見つめるセシリア。
 不謹慎な話、面白い武器だとは俺も思った。
 技術者としての自分が鈴の使った武器の仮説をたて始めてもいる。


「一夏」



「……うん……反省してる」



 後悔した表情を見て、少し安心する。
 こいつは変わってない。
 一夏が後悔してるなら俺から言うことはないな。







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