Infinite Stratos:Re

□第八夜
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「……よォ」


「……貴様か」


 和気あいあいとする生徒達いる中、一人でたっているボーデヴィッヒがいた。


「……シャルルの相手は俺がする」


「……なに?」


 一夏達には悪いがな。


「一夏とはサシで試合いたいだろ? 邪魔は入らない様にしてやる。……つってもどこまでやれるか判らないが」


「私一人で充分だ」


「そう言うなよ。俺だって戦いたい」


 ジッと俺を見つめてくるボーデヴィッヒ。


「……私の邪魔はするなよ」


 どうやら認めてくれたようだ。
 相変わらずムスッとしているが。


「無論だ」


 さて、頼むぜ一夏。
 孤高と孤独を履き違えている女の子を救うのはヒーローの役目なんだぜ。













「一戦目で当たるとはな。待つ手間が省けたというものだ」


「そりゃあ、なによりだ。こっちも同じ気持ちだぜ」


 試合開始までもうすぐであろう。


「涼夜、何で……」


「本気で来いよ? じゃないと一瞬で終わる」


 我ながら安い挑発だ。
 シャルルが乗るわけない。
 一夏が何も言ってこないのは……あいつはあいつで納得したんだろうな。


(涼夜兄はいつだって皆の味方であろうとする。……ラウラとペアなのは驚いたけど、不思議と納得できた。……やっぱり格好良いなあ)



 試合開始まで五。


 四。


 三。


 二。


 一。


 開始。


「「叩きのめす」」


 一夏とボーデヴィッヒの言葉は奇しくも同じだった。


「おおおっ!」


「ふん……」


 一夏の瞬時加速〈イグニッション・ブースト〉に合わせるようにボーデヴィッヒが右手をつきだす。


(──来る!)













「AIC? なんだそれ」


「涼夜、説明」


「あ? ……シュヴァルツェア・レーゲンの第三世代兵器だ。アクティブ・イナーシャル・キャンセラーの略で……慣性停止能力だ」


 鈴に言われ渋々と説明する涼夜。


「ふーん」


「ちなみに一夏さん、PICはご存じですわよね?」


「知らん」


「……涼夜さん」


「……パッジブ・イナーシャル・キャンセラー。ISはこれによって浮遊、加速、停止をしている」


 また俺? と顔をしかめるが結局説明する涼夜。


「ああー……あれか」


「あんた本当に分かってる?」


 呆れる鈴に、分かってるよ! と返す一夏。


「対策、考えるんだろ?」


 涼夜の一言に漸くまとまり出す一同。


「涼夜兄は解除してたよな?」


「公式戦ならアウトだと思うよ」


 ISを解除して動揺を誘う。
 だが公式戦においては当然使えないというシャルル。
 その後も、あれは違う。これは無理だの、無駄な時間が過ぎていく。


「……アレもエネルギーなんだ。一夏の零落白夜なら斬れるんじゃないか?」


「……理屈の上ではそうだね」


「俺、止められたんだけど」


「あんたの腕を直接止めたんでしょ」


「腕を? ピンポイントで?」


「一つ申し上げるのなら、一夏さんの動きは──」


「読みやすいのよ」


 そんな会話をした数日前。












 始まりと同時に特攻。
 意外性を狙ったのか。
 だが甘い。
 すぐに一夏の動きは停められてしまった。


「開始直後の先制。わかりやすいな」


「……以心伝心で何よりだ」


 ガキン! と巨大なリボルバーの回転音が轟き、白式を捉える。


「させないよ」


「お前もな」


「ッ!?」


「ちっ……!」


 俺の近接ブレードを避けながらも一夏を狙うボーデヴィッヒのカノンを反らしたようだ。


「碧海涼夜! 真面目にやれ!」


「……了解」


 ……怒鳴られてしまった。







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