Infinite Stratos:Re

□第九夜
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「……眩し……」


 日曜日。天気は快晴。
 臨海学校の準備ということで、俺はシャルと二人で街に繰り出していた。
 今日の俺は変装をしていない。
 一夏曰く、そろそろみんな忘れてきているはず、だそうだ。
 シャルの服装は、夏によく似合う半袖のホワイト・ブラウス。その下にはスカートと同じライトグレーのタンクトップを着ている。ふわりとしたティアードスカートはその短さもあって、健康的な脚線美を演出していた。



「じゃ、行くか?」


「うん。その前に、はい」


 いきなり手を差し出された。


「手、繋ご? ……そ、その僕、まだこの辺りのことは知らないから……」


「あァ、そうか。迷子は嫌だよな、この年で」


 今日は日曜日。
 つまり、駅前などは混んでいるだろう。
 それではぐれてしまうのは好ましくない。


「…………」


 シャルと手を繋ぐと、今度は赤くなって黙りこくってしまった。


「大丈夫か?」


「ひゃあっ!? な、な、なにがっ!?」


「あ、いや、シャルがなんだが。調子でも悪いのか?」


 もう七月になるわけだから、気温も高い。
 心なしかシャルは赤いし、熱中症にでもなったら大変だからな。



「う、ううんっ! 平気っ、大丈夫っ! い、行こっ!」



 華奢な手してんな……なんて考えながら、急に歩き出すシャルにつられて駅前へと進む。












「…………」


「…………」


(意外と積極的なのだな、シャルロットは)


(うわあ。帰りてー)


 駅前へと進む涼夜とシャルロット。その姿を影から見つめる四つの影があった。
 二人が人混みに消えると、頃合いとばかりに姿を表す。


「……あのさあ」


「……なんですの?」


「……あれ、手ぇ握ってない?」


「……握ってますわね」


 そんな会話をする鈴とセシリア。
 涼夜達の様子を見、素直に憧れを抱いた箒。
 未だに自分がここにいる意味がわからない一夏だ。



「そっか、やっぱりそっか。あたしの見間違いでもなく、白昼夢でもなく、やっぱりそっか」



「はぐれないようにしただけじゃないのか?」



「──よし、殺そう」


 一夏の言葉を無視し、拳にISアーマーを部分展開する鈴。



「ほう、楽しそうだな。では私も混ぜるがいい」



「「「「!?」」」」



 後ろから聞こえた声に反射的に振り替える四人。



「なっ!? あんたいつの間に!」


「そう警戒するな。危害を加えるつもりはない」



 ラウラについては既に話がついていた。
 何だかんだで涼夜が駆け回ったのだ。



「どこかに行くのか?」


「ああ、そうだ。私は涼夜を追うので、これで失礼するとしよう」


 箒の質問にそう答え、歩き始めたラウラを、鈴とセシリアが慌てて止めた。


「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!」


「そ、そうですわ! 追ってどうしようといいますの!?」



「決まっているだろう。私も交ざる。それだけだ」



 あっさりと言われて、逆に怯んでしまう二人。こうまでストレートに言われるとなんだかもう悔しいのか羨ましいのかわからない。



「ま、待ちなさい。待ちなさいよ。未知数の敵と戦うには情報収集が先決。そうでしょう?」



「ふむ、一理あるな。ではどうする?」


「ここは追跡ののち、二人の関係がどのような状態にあるのかを見極めるべきですわね」



「なるほどな。では、そうしよう」


 そのまま歩いていく追跡トリオ。


「一夏、私たちも行くぞ」



「……ごめん、涼夜兄」



 何だかんだで恋愛事に興味のある箒に、引きずられるように一夏は三人を追いかけた。







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