Infinite Stratos:Re
□第九夜
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◇
「……眩し……」
日曜日。天気は快晴。
臨海学校の準備ということで、俺はシャルと二人で街に繰り出していた。
今日の俺は変装をしていない。
一夏曰く、そろそろみんな忘れてきているはず、だそうだ。
シャルの服装は、夏によく似合う半袖のホワイト・ブラウス。その下にはスカートと同じライトグレーのタンクトップを着ている。ふわりとしたティアードスカートはその短さもあって、健康的な脚線美を演出していた。
「じゃ、行くか?」
「うん。その前に、はい」
いきなり手を差し出された。
「手、繋ご? ……そ、その僕、まだこの辺りのことは知らないから……」
「あァ、そうか。迷子は嫌だよな、この年で」
今日は日曜日。
つまり、駅前などは混んでいるだろう。
それではぐれてしまうのは好ましくない。
「…………」
シャルと手を繋ぐと、今度は赤くなって黙りこくってしまった。
「大丈夫か?」
「ひゃあっ!? な、な、なにがっ!?」
「あ、いや、シャルがなんだが。調子でも悪いのか?」
もう七月になるわけだから、気温も高い。
心なしかシャルは赤いし、熱中症にでもなったら大変だからな。
「う、ううんっ! 平気っ、大丈夫っ! い、行こっ!」
華奢な手してんな……なんて考えながら、急に歩き出すシャルにつられて駅前へと進む。
◇
「…………」
「…………」
(意外と積極的なのだな、シャルロットは)
(うわあ。帰りてー)
駅前へと進む涼夜とシャルロット。その姿を影から見つめる四つの影があった。
二人が人混みに消えると、頃合いとばかりに姿を表す。
「……あのさあ」
「……なんですの?」
「……あれ、手ぇ握ってない?」
「……握ってますわね」
そんな会話をする鈴とセシリア。
涼夜達の様子を見、素直に憧れを抱いた箒。
未だに自分がここにいる意味がわからない一夏だ。
「そっか、やっぱりそっか。あたしの見間違いでもなく、白昼夢でもなく、やっぱりそっか」
「はぐれないようにしただけじゃないのか?」
「──よし、殺そう」
一夏の言葉を無視し、拳にISアーマーを部分展開する鈴。
「ほう、楽しそうだな。では私も混ぜるがいい」
「「「「!?」」」」
後ろから聞こえた声に反射的に振り替える四人。
「なっ!? あんたいつの間に!」
「そう警戒するな。危害を加えるつもりはない」
ラウラについては既に話がついていた。
何だかんだで涼夜が駆け回ったのだ。
「どこかに行くのか?」
「ああ、そうだ。私は涼夜を追うので、これで失礼するとしよう」
箒の質問にそう答え、歩き始めたラウラを、鈴とセシリアが慌てて止めた。
「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!」
「そ、そうですわ! 追ってどうしようといいますの!?」
「決まっているだろう。私も交ざる。それだけだ」
あっさりと言われて、逆に怯んでしまう二人。こうまでストレートに言われるとなんだかもう悔しいのか羨ましいのかわからない。
「ま、待ちなさい。待ちなさいよ。未知数の敵と戦うには情報収集が先決。そうでしょう?」
「ふむ、一理あるな。ではどうする?」
「ここは追跡ののち、二人の関係がどのような状態にあるのかを見極めるべきですわね」
「なるほどな。では、そうしよう」
そのまま歩いていく追跡トリオ。
「一夏、私たちも行くぞ」
「……ごめん、涼夜兄」
何だかんだで恋愛事に興味のある箒に、引きずられるように一夏は三人を追いかけた。
◇