Infinite Stratos:Re

□第九夜
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 俺達は駅前のショッピングモール『レゾナンス』の二階にいた。



「涼夜は買わないの? 水着」


「去年の買ったのがあるからな……わざわざ買い直す必要もないだろ?」


「えー、せっかくだし新しいの買いなよ」


 不満の声を漏らすシャルロットを見ながら、ふむ……と呟く。


「なら、ここで一端別れるか」



「あっ……」


 ぱっと手を離したら、なぜかシャルは妙に心残りのあるような声を漏らした。
 その後も俺を『欲しいものがあるんだけどなかなか言い出せない子供』の顔で、じーっと見つめてくる。


「……なんだ?」


「あっ、ううん。何でもないよ」


「なら……そうだな……三十分後にここで」


「うん、わかった」


 こくんと頷いて、シャルは女性の水着売り場に向かう。
 それにしても水着か。
 とりあえず資金は問題ないとして。どんなのにするか。
 男性のコーナーに向かいながら思考する。


「…………」


 男性のコーナーに着いた俺は驚いた。
 何て言うか……奇抜な色が多い。
 買う奴いるのか? と突っ込みたくなる勢いだ。
 まァ、いいか。
 無難にブルーのトランクスタイプの水着を手にとる。



「これでいいか……」



 肌は傷だらけだから、上になにか羽織るものも買っとかないとな。ラッシュガード的な……まァ適当でいいか。
 約束の時間までまだあるが、買い終わった俺は集合場所で携帯をいじる。


「そこのあなた」



 すると突然、女性のコーナーから出てきた女に声をかけられる。



「……なんだ?」


「この水着、片付けておいて」



 名前も知らない女から言われる。
 俺自身は池袋に主体をおいた生活をしていたのでないが、この様な女尊男卑が今の風潮だ。



「……悪いがツレがいるから断らせてもらう」


 もうすぐ約束の時間だから勝手に動くわけにはいかない。



「ふうん、そういうこと言うの。自分の立場がわかってないみたいね」


 ちなみに池袋では最強と言われているのが男なので……いや本当にIS使ってる相手にも勝てんじゃないか? ってレベルの人がいるので、こういう輩は本当にいなかった。
 同様に新宿や原宿もないらしい。


「すいません、彼にいきなり暴力を振るわれたんですけど」



 こんなことを警備員に言うと問答無用で逮捕らしい。



「……本当ですか?」


「はい」


 やれやれ……。
 女性警備員も状況を理解しているのか、同情の目を向けてくる。



「え?」


「あん?」


 不意に警備員の目が大きく開かれる。


「あ、あの……お名前を聞かせて貰えますか?」


 勝ち誇り、俺を見下す高慢女を無視して問いかけてくる警備員。



「碧海涼夜」



 その言葉に動きが止まる二人。
 俺と一夏は『世界で二人しかいないIS操縦者』なのだ。



「どうでもいいけどさ。お前、俺に冤罪吹っ掛けたらマズいと思うぞ」


 俺の言葉に顔を真っ青にしていく高慢女。
 俺と一夏。
 一夏の場合は千冬さん経由でバックを政府組織に守られている。
 俺の場合は政府お抱えの組織であるTHIRD-iと直接的な繋がりがある。



「お……ツレが来たんで失礼させてもらう」



 未だに真っ青な高慢女と彼女に詳しく話を聞こうとする警備員を無視してシャルの方へ歩みを進める。


「……何かあったの?」



「いや、たまたま近くであいつらが揉めてただけ」



 ふーん、と言うが瞳には疑いの色が濃く映っている。



「それより買い物は済んだのか?」


「あ、ううん。その、涼夜に選んでほしいなぁって」



「……それでいいのか?」



「うん」


 俺にセンスのあるものが選べるか判らないのだが。
 女性ものなら尚更だ。



「……とりあえず見てみるか」



 俺の言葉はスルーされ、シャルに引っ張られた。






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