猫シリーズ

□あの人を愛する男の話
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「…もう帰りやがれ」

なめ回すような俺様の
視線に嫌な予感がしたのか
居心地悪そうに小十郎さんは
低くそう呟いた。
だけど、やっぱりさっきの
熱が引いてないみたいで
顔は赤く火照ってるし…
フェロモンっていうの?
それがムンムン出てる。

竜の旦那が小十郎さんは
無意識に男を誘うからと
心配する気持ちが
今よく分かった。
竜の旦那には悪いけど…
俺様はこの誘惑を受けて
我慢出来そうにない。

「帰っちゃっていいの?」

「は?…っあ!?」

俺様は小十郎さんを
床に乱暴に押し倒した。
でも頭を打たないように
後頭部には手を添えて。
この人に傷なんか付けたら
竜の旦那だけではなく
沢山の人にボコられる。
それは流石に勘弁だ。

「さ、猿…飛?」

怯えたような声に組敷いた
小十郎さんを見れば
やはり不安そうな視線を
俺様に送っていた。
ああ、その顔たまんない。

「っ!」

返事をする代わりに
ジーパンの下から主張する
小十郎さんのそれを
布越しにねっとり撫でる。
するとびくりと体を震わせ
切なそうな表情を
浮かべてくるものだから
もう俺様止まりません。

「や、やめ」

「なんで?苦しいんでしょ?抜いてあげるよ」

スイッチの入った俺様は
小十郎さんの抵抗も無視して
ジーパンを黙々と
脱がしていった。
その間も足をばたつかせたり
手で俺様の頭をぐいぐいと
押したりして抵抗する
小十郎さんに舌打ちをする。

「もう…、嫌がりすぎじゃない?俺様傷付いちゃうな〜」

「うるせえ…っ!離れろ!」

「じっとしてなさいって…ココはこんなにしてるのに」

「ひいっ!?」

下着をずり下ろして、
露になったそれに
顔を近付けて口付ける。
小十郎さんはひきつった
余裕なさげな悲鳴を上げた。
思ったよりも竜の旦那にかなり
追い詰められていたようで
今にも達しそうだ。

「やっ…佐助、駄目だっ…」

上目遣いで表情を見ると
ボロボロ泣きながら
小十郎さんは緩く頭を振って
俺様を見つめている。

「……抜いてあげるだけで、いれないからさ。泣かないでよ」

思わず優しい言葉が
無意識に口から出た。
嫌われたくなくて。
泣かないでほしくて。
あんな反応されてちょっと
本気で傷付いたなんて。
死んでも言えない。

それ以上見ていたくなくて
返事も聞かずに俺様は
その男根をくわえこんだ。

「んぁああっ…や、さす、け」

びくびくと腰をくねらせて
喘ぐ小十郎さんに構わず
舌先でなぞるように、
指では根元を愛撫しながら
出来るだけ優しく優しく
それを繰り返した。

「あ、あっ、あ!ぁああ…っ」

戸惑いながらも
小十郎さんはすぐに達して
口に満ちていく白濁を
俺様はごくり、ごくりと
二つに分けて飲み干した。
それに気付いた小十郎さんは
顔を赤くしたが諦めて
ゆっくり瞼を下ろした。

男根から口を離すと
白い太股がひくりと震えた。
同時にガバリと小十郎さんが
起き上がって無言で
ズボンを履き始めた。
やっぱり嫌われちゃったか。
そりゃそうだよね。
いきなり罪悪感を感じて
俺様も無言で床に正座する。

「……猿飛」

「…うん」

「次やったら、殺す」

「…うん」

「でも、……ありがとな」

「うん……、え?」

ありがとな。
まさかの言葉に思わず
小十郎さんを見上げると
まだ火照った頬を緩ませて
薄く微笑んでいた。

「こじゅろ、さん?」

「無理矢理ヤられると思ってた…でもお前は優しくしてくれた」

「………!」

俺様が唖然としていると
小十郎さんはいきなり
カアッと赤くなって
「でも許した訳じゃねえ!」
なんて俺様に怒鳴った。
でも、俺様は緩む口許を
押さえらんなくて。

大好き。
大好き。
大好き。

「あ〜っもう!小十郎さん大好きいいい!」

「っ!?」

勢いにまかせて小十郎さんに
思い切り抱き付いた。
小十郎さんはなにやら
喚いていたが俺様のことを
振り払おうとはしなかった。

ねえ、神様。
まだ俺様はこの人とアイツの
間に入り込めますか?













あの人を愛する
男の話


(なんて俺様幸せ者なんだ!)















 
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