猫シリーズ

□不覚にもときめいた
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どくん!

一層大きく心臓が鳴った。
なんだか体が気だるい。
しかし熱はどんどん下がり
意識がハッキリしてきた。

「なっ…」

近くで主人の動揺したような
声が聞こえて目を開くと
なにやらいつもより
主人が小さい気がする。
何故だ?と、首を傾げつつ
佐助を横目に見ると
携帯を耳に当てたまま
口を半開きにしていた。
佐助もなんだか小さい。

「にゃ、にゃんこ…だよね?」

なにを当たり前な事を。
佐助の言葉に吾輩は
しっかりと返した。

「吾輩はみたらしだ」

「「!」」

「…ん?」

今、吾輩は日本語を
喋らなかったか?
主人が今にも気絶しそうな程
衝撃を受けている。
これはなんだかおかしいぞ。
嫌な予感を感じながらも
吾輩はそっと自分の体を見た。

「……これは、」

完全に人間の体ではないか。
バッと両手を見てみれば
その手に肉球は無くなり
長い五本の指が延びている。
その手で顔を触ってみれば
やはり人間の顔であった。
視界に垂れてくる髪は
茶の色をしていた。

『…おい、猿飛、みたらしがどうかしたのか』

携帯から毛利の声がして
佐助はハッと我に返った。
そして早口に答えた。

「人間になった」

その瞬間電話は切られた。
まあ、当たり前である。
でも本当になったのだから
仕方ないだろう。
吾輩は、人間になった。

未だに放心している主人を
吾輩はゆっくり見上げた。

「主人」

「っ…みたらし、なのか」

「…うむ」

主人が分かってくれたのが
嬉しくて主人の唇を
舌でぺろりと舐める。
しかしいつもなら柔らかく
笑ってくれる主人が顔を
真っ赤に染め上げて後ろに
バタリと倒れてしまった。

「主人!?」

「大丈夫、気絶しただけだよ」

「佐助…」

「でもまさか、人間になっちゃうなんてね」

俺様も気絶しそう、と
佐助はケタケタ笑う。
全然そんな風には見えないが。

「さてと…とりあえず、3Pでもする?な〜んて」

「さんぴぃ?」

「分かんないよね、元は猫だし。結構イケメンってのがちょっとイラつくけど」

「……寒い」

「…うん、とりあえず服着ようか」













不覚にもときめいた

(俺様、メスだと思ってた)
(見る目がないのだな佐助)
(…あれ?なんかイラつく)















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