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□神様なんて大嫌い
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―――ああ、
ここにもいらっしゃらない。

もう何度死んで、
何度生きただろう。
何度も何度も何度も何度も、
繰り返して、繰り返して。

なのに。



「まさむねさま、」



なぜ貴方はいないのだろう。
なぜ俺の隣に、
あなたはいないの?

静かに包丁を手に取って
ゆっくり上に振りかぶる。
なにもない部屋の白い壁を
虚ろな目で見つめて、
そっと瞼を下ろす。



「政宗様」



あの、血生臭い戦が
大嫌いだった。
だけど貴方がいたから。
貴方を守りたかったから。
貴方を愛していたから。

俺は生きた。

でもここに貴方はいない。
何度も輪廻転生しても
貴方はいなかった。
だから俺はまた繰り返す。



「また、来世にて」



思い切り刃を振りかざし
心臓に突き立てる。
痛みなどもう感じなかった。
これで貴方に会えるなら
こんな痛みなど。

体の力が抜けて
がくりと膝を付き、
冷たい床に倒れ込む。

どくどくどくどく、と
血が床に広がっていく。
鼻をつく血の匂いを
うっとりと吸い込んで
遠退いていく意識に沈む。



「はやく、あいたい、です」



まさむねさま。
どこにいらっしゃるのです?
またそうやって
こじゅうろうを
からかっているんですか?

まったく…
かわっておりませんなぁ…



「まさ…む…、さ………」



一筋、涙が床に落ちて。
もうそれきりだった。
















神様なんて大嫌い

(あの人に、会わせてください)

















 
 

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