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□愛すべき日常
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片倉小十郎には最近
ある悩みがあった。



「そんでさー、旦那がさっき食べたばっかりなのにまぁた団子頼んじゃうわけよー」

昼休み。
向かい合わせた机に
弁当を広げていつものように
小十郎は友人の佐助と
雑談を交わしていた、が。

「………」

小十郎はいつも以上に
険しい表情を浮かべながら
じっと無言を続けている。
弁当にも手をつけておらず、
これには佐助も途中から
異変に気付き話を止めた。

「………あのー」

「………」

「こじゅうろーさーん?」

「………」

反応がない。
佐助は首を傾げながら
小十郎の視線を辿っていくと
そこは自分の胸であった。
ますます訳がわからない。

「…小十郎さん?」

「………」

「俺様の胸がどうかした?」

「…佐助」

あ、やっと反応した。

「なーに?」

「胸を……」

「胸を?」

「…お前みたいに胸をでかくするには、どうすればいい」

真剣な顔で言う小十郎に
佐助は暫くポカンとすると
苦笑いを浮かべた。

「伊達の旦那になんか言われたの?」

すると小十郎はとんでもないと
首をぶんぶん振った後に
少し俯いてぼそぼそと
佐助にしか聞こえない
声量で話し始めた。

「政宗様も男だ…胸がでかい女の方が良いと思う…だが俺はこんなだし…」

はぁ、と溜め息を吐いて
しょんぼりする小十郎。
佐助はふむふむと頷きながら
小十郎の胸を見た。
特別ぺったんこな訳ではないが
その大きさは貧乳という
部類に入るのだろうと思う。

それと違って佐助は
確実に巨乳である。
まあ、元親には負けるが。

とはいえ、佐助もなにかを
しているわけではない。
体質的な問題だろう。
佐助は暫く考え込むが
答えは1つしかなかった。

「伊達の旦那に揉んでもらえば?」

よくある話だ。
揉めば胸は大きくなると言う。
真相は分からないが。
どちらにしろすぐに小十郎から
罵声が飛んでくるだろうなと
佐助は身構えていたのだが
それはいつまで経っても
飛んではこなかった。

「政宗様に揉んでもらえばでかくなるのか!?」

それどころかそこには
目を輝かせながら
佐助を見つめる小十郎がいた。

「う、うん…多分ね?」

「そうか…!分かった。ありがとうな、猿飛!」

そう言い嬉々としながら
小十郎は教室から
出ていってしまった。
きっと行く先は
政宗と幸村がいる
隣のクラスであろう。

「………あっちゃあ〜」

佐助が慌てて追おうと
席を立つが時は既に遅し。

「小十郎ォォォーーーーーーー!!!???」

「破廉恥ィィィーーーーーーー!!!!!!」

隣のクラスから二人分の
大絶叫が響き渡った。
きっと教室は血の海である。
鼻血的な意味で。

「………お、俺様、悪くないよね………?」

俺様知ーらね…
佐助は弁当を口に流し込み
政宗が怒鳴りこんで来る前に
そそくさと屋上へと
退散するのであった。
















(テメェ猿飛!俺の小十郎に
変な事教えてんじゃねぇ!)
(げっ、見つかった!)


















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