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□オフィスラブ
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「片倉さん、これよろしくね」
「これ明日までに提出なー」
「君には期待しているよ」

そんな言葉と共に自分の机に
ドサドサと積まれていく
紙の山に苦笑いを浮かべた。
ああ、今日も残業か。

そして予想通りとなった。

「お疲れ様でーす」

「おう、お疲れ様」

一人の会社員が退室して行き
部屋には一人だけとなった。
小十郎はパソコンから
一度目を離して、
うーんと伸びをした。

時計を見れば針は既に
10時を指していた。
しかし減らない紙の山。
頭を痛くしながらも小十郎は
コーヒーでも飲もうと
席を立ち上がった。が、



「頑張ってるねぇ」

「ぅおあっ!?」



誰もいないはずの部屋。
しかも自分の後ろから
声がしたものだから
小十郎は思わず
変な声を上げてしまった。

しかし、同時に自分の尻が
撫でられる事に気付くと
小十郎は口元をひくりとさせた。

「…おい猿飛。そんなに張り倒されてぇか」

「こわーい(棒読み)」

「テメェ………」

一発ぶん殴ってやろうと
小十郎は腕を振りかぶるが
いとも容易くそれは
自分の後ろにいる同僚に
受け止められてしまい、
大きく舌打ちをした。

次には体が一瞬浮いたと思えば
視界がその憎たらしい
同僚を映していた。
気付けば小十郎は机の上に
乗せられている状態で
そんな彼をニヤニヤ見ている
猿飛佐助がいた。

「………おい」

「なぁに」

「なにしてんだ」

「……オフィスラブ?」

「死ね」

「俺様が死んだら泣く癖に」

「泣かねぇよ」

「じゃあ泣いてよ」

そう言いながら小十郎の頬を
優しく撫でながら笑う佐助に
小十郎は眉をしかめた。
ああ、こいつと話してたら
いつも調子が狂っちまう。

「なにしに来たんだよお前は」

「なにって、残業で疲れてる小十郎さんを癒そうと、ナニをしに」

「帰れ迷惑だ」

「とか言いながらいっつも乱れまくってるくせに〜」

「死ね」

「うわ、二回目」

ケタケタと笑いながらも
黙々と小十郎のスーツを
脱がしていく佐助に
もう小十郎は諦めモードだ。
こうしていつも流されてしまう
自分が一番憎たらしい。

この行為が終わったら
この変態クソ同僚に
コーヒーを淹れさせて
仕事を全て片付けさせよう。

押し倒されながら
小十郎は心に決めるのだった。












オフィスラブ

(だから残業は嫌なんだ…!)
















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