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□気になるあの子
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片倉小十郎が
風邪をひいた。



「What?で、なんでお前が来るんだ」

小十郎の部屋の前で
政宗は仁王立ちをして
目の前の黄色を見た。

「なんでって決まってるじゃん!片倉さんのお見舞いだよ!そこどいて!」

「誰がどくか!見舞いにそんな卑猥なもんはいらねえ!」

政宗の前には慶次が
腕いっぱいに卑猥な
口には出せない物を
持っている。
何故見舞いなのに
それがいるのか。
花街通いの思考は
訳が分からない、と
政宗は頭を抱えた。

何度か慶次は小十郎の
寝ている部屋に
忍び込もうとしたが
政宗が全力で全てを
阻止している。

「ちぇ〜、折角風邪で弱ってる片倉さんをこれで虐めてやろうと…」

「shit!!やっぱり小十郎に使う気だったのかこの変態野郎!」

「あっ!なにすんだよ!」

政宗はその卑猥物を
慶次からかっさらうと
庭の池に捨てた。
後ろから舌打ちが
小さく聞こえた。

「全く…分かってないなあ政宗は」

「…なにがだ」

「片倉さん狙ってんのは、政宗と俺だけじゃあないんだよ?たとえば…、」

がたん!

「ぎゃあああっ!」
 
慶次が言うのと同時に
誰も入っていない筈の
小十郎の部屋から
大きな物音がした後に
悲鳴が響いた。

「小十郎っ!」

政宗は慌てて
慶次を押し退けると
部屋の襖を開けた。
そこには小十郎を
今にも襲おうとする
佐助の姿があった。

「あ、見つかった」

「政宗様っ!」

小十郎は顔を赤くして
佐助の下から
這い出そうともがくが
熱と寝起きのせいか
力が入らずに
途中で力尽きた。
力では勝てないと
思った小十郎は
形だけでもとキツく
佐助を睨み付ける。

しかし熱で涙目な
小十郎では全く
効果は無かった。
佐助の服を掴む手は
震えている。

「右目の旦那ってば照れちゃって可愛い〜♪そんなに俺様の事好き?」

「っ馬鹿野郎!早く退け猿飛!!」

「え?右目の旦那が上で動いてくれるの?」

「ああ゙!?」

「stooop!!そこまでだ真田の忍!俺の純粋小十郎を汚すんじゃねえ!」

会話が成り立たなくて
混乱している小十郎を
政宗は無理矢理
佐助から引き剥がして
自分に引き寄せた。

「政宗様…っ」

「小十郎は俺のもんだ!分かったなら早く帰りやがれ!つーか、分からなくても帰れ!」

「ちぇ、折角弱ってる右目の旦那なら犯せると思って来たのに…」

「おまっ…」

「じゃあね、右目の旦那♪…と、竜の旦那」

政宗が抜刀する前に
佐助はヒラリと
体を翻して部屋から
姿を消してしまった。
わなわなと震える
政宗を小十郎は
少し困ったように見た。

「あの、政宗様」

「…小十郎」

「心配せずとも政宗様の命無しに、この小十郎殺されたりはしませぬ」

「…」

いや…そうゆう
意味じゃないんだが…
でも嬉しいから
なにも言えない
政宗であった。

「ありゃま…イチャイチャしちゃって〜」

「!?…なんだ、前田の風来坊か…って、なんだそれは」

ずっと無視されて
暇だった慶次は
政宗に沈められた
卑猥な物達を池から
救出したらしい。
その手には再びそれが
溢れていた。

「片倉さん、これはね気持ち良くなれる新しい玩具…」

「Nooo!!!!!聞くな見るな小十郎ォオ!!!!!」

「な、政宗様!?」

政宗は小十郎を残して
廊下に飛び出すと、
今度は慶次ごと
池に突き落とした。
それを眺めながら
小十郎は首を小さく
傾げるのだった。

「今日はやけに客人が多いな…」

なぜだろうか、と
ぼんやり考えていると
ドタドタと廊下を
駆けてくる音がする。
小十郎が顔を上げると
そこには大量の団子を
抱えた幸村がいた。
かなり走ったらしく
息が切れている。

「かっ、片倉殿ォ!風邪をひいたとお聞きになりましたが!無事でござるかあああ!」

「え?あ、ああ…」

「良かったでござるぅうあああ!!!!!」

おいおいと泣き出して
しまった幸村に
どうしていいか分からず
小十郎はとりあえず
背中を擦ってあげた。
幸村が何に対して
泣いているのかよく
分からないまま。

その後に慶次を沈めて
戻ってきた政宗と
幸村が何故か無言で
掴み合いを始めてしまい
小十郎は訳が分からず
それを止めようと
暫く葛藤したのだった。

次の日小十郎の風邪が
悪化したのは
言うまでもない。








気になるあの子

(気になるあの子は
結局誰のモノ?)













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