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□緑と赤の迷走
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「たのもぉおおぉお!」

まだ雀も鳴かない
奥州の朝、5時。
幸村の声によって
伊達軍の朝は訪れた。

「…なんだ?」

「…なんでしょうか」

政宗と小十郎も同じく
幸村の声で目を覚ました。
いきなり叩き起こされて
流石の小十郎も暫く
ウトウトとしていたが
当たり前のように隣で
同じようにぼんやりする
政宗にみるみる思考が
ハッキリしてきた。

「…あの、政宗様」

「Ah?なんだ、小十郎」

「なぜまた小十郎の部屋で寝ておられるのです?」

「夜乞いしに来たけど小十郎の寝顔が可愛くてずっと見てたらいつのまにか寝てた」

「それ昨日もでしたよね?ていうか夜乞いしに来ないでください人の寝顔見ないでください」

「細かい事は気にすんなよhoney。それよりもなんでこんな朝っぱらから幸村の声g…」

小十郎の反論を無視して
政宗が言いかけた時、
遠くから廊下を激しく
走ってくる音がした。
果てしなく嫌な予感がして
政宗と小十郎は同時に
立ち上がろうとしたが
それよりも先に足音は
怖いぐらいに早く着いて
次の瞬間にはスパーン!と
障子が開いていた。

そこには予想通りに
甲斐の若虎である
真田幸村がいた。
長い沈黙が続き暫くして
幸村は叫んだ。

「おはようございまするぅあぁあああぁああぁ!」

「うるせぇええぇええぇええぇえええぇええぇ!」

鼓膜が破れるほどの
幸村の朝の挨拶に政宗も
負けじと叫んだ。
その場にいた小十郎は
耳がジンジンするのを
ひたすらに耐えていた。

「うるせーです。政宗様、真田」

「なんで俺まで!?」

「おお、片倉殿!これは申し訳御座らん!」

早朝に叩き起こされて
機嫌の悪い小十郎は
無意識に敬語とタメ語が
混ざってしまう。
それを知ってか知らずか
幸村は慌てて謝ると
また人懐っこい笑顔に戻り
その場で正座をしたまま
二人を見つめ続けた。
また沈黙が訪れる。

「…Hey、幸村」

「なんでござろう!政宗殿」

「…なにしにきたんだ?」

「遊びにきたでござる!」

「ああ、遊びに、ね…朝の5時に遊びに、ね…ってアホかぁああぁあああ!」

ちゃぶだいをひっくり返す
勢いで政宗は激怒した。
まあ、当たり前である。
しかし幸村は怒る政宗に
首を傾げている。
頭の上には疑問符が
ふわふわ浮かんでいる。
これだから天然は嫌だ。
政宗はやり場のない
怒りを小十郎にぶつけた。

「という訳で小十郎!ヤらせろ!」

「はぁああ!?今かなり無理矢理繋げましたよね!?ヤりたいが為に!」

「うるせえ!じっとしてろ小十郎!」

「あんまりです政宗様!」

「そうだよ竜の旦那。右目の旦那、嫌がってるでしょ?」

「猿飛!?」

政宗が小十郎を今にも
押し倒さんとしていると
どこから湧いたのか
いつの間にか小十郎の
背後には佐助がいた。

「shit、次から次へと俺と小十郎の愛の巣を邪魔しに来やがって」

「まあまあ、別に邪魔はしないよ。ちょっと気になる事があっただけ」

「気になること?」

佐助は何故か楽しそうに
頷いてどこからか
大根を取り出した。
その大根に今度は
政宗と小十郎が
疑問符を浮かべていると
黙っていた幸村が笑顔で
小十郎に言った。

「この大根を片倉殿の穴に入れにきたので御座る!」

空気が凍りついた。
固まる伊達主従に対して
真田主従は嫌なくらいに
爛々と目を輝かせて二人の
反応を待っている。
政宗は目を泳がせながら
ぎこちなく笑う。

「Ah…そりゃあまた良い冗談だ」

「冗談ではありませぬ!今朝に佐助と片倉殿の中の具合について語ったのですが、佐助はこんな太い大根でも片倉殿はくわえこむと申すのです!しかし某は片倉殿のあんな狭い所にこんなものが入るわけがないと思うのでござる!」

「だから実際に確かめたくて奥州まで遊びに来ちゃったってわけ」






 
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