bl

□カスタードの誘惑
1ページ/2ページ




「猿飛、別れたい」

「絶対駄目」

昼休みの賑やかな食堂で
今日も始まった痴話喧嘩に
向かい側に座った
政宗と幸村は苦笑いした。

小十郎はクリームパン片手に
牛乳パックに刺さった
ストローをくわえながら
「別れたい」を連発する。
それを言われている小十郎の
彼氏である猿飛佐助は
「絶対駄目」を連発する。
もうキリがないほどに。

「何故片倉殿はそんなに佐助と別れたいのでござるか?」

幸村はそれを見かねて
何回もしたような
気がする質問をする。
小十郎はその質問に
顔をしかめながらスカートを
はいているにも関わらず
椅子の上で豪快な胡座をかく。

佐助は慌ててそれを
なんとか隠そうとするが
スラリとした綺麗な太股が覗き
思わず幸村は顔を赤くした。
すると彼女である政宗に
机の下で足を踏まれて
うぐぐと一人呻く。
それを不審そうに見ながらも
小十郎はゆっくり話し始めた。

「猿飛はすぐヤりたいとか言うしセクハラするし他の女にデレデレするし…もう限界です。愛想がつきました」

「いや小十郎さん、今まで一度も愛想良かったことなんてn…」

「黙れクソが」

「こら!女の子がそんな汚い言葉使わないっ!てゆーか、そんなに牛乳飲んだら只でさえデカイ胸がもっと巨乳になっちゃうよ!変な虫が寄ってきたらどうすんのさ!小十郎さんは俺様だけの為にその乳を揺らしてればいいの!」

真面目な顔でそう喚く佐助に
小十郎は憂鬱そうに
幸村と政宗を見た。
どうですか、コイツ。
救いようがないでしょう?
という目だった。

「Ah〜…猿飛?」

「うん?」

「お前が悪い」

「えええええ!!」

ガビーン、という効果音で
佐助は政宗の言葉に
ショックを受けた。
当たり前のことなのに。

「大体お前は小十郎の気持ちがまるで分かってねえ。小十郎が大事ならもっと気を遣ってやりな」

「某も同意見でござる」

「旦那までっ!」

「死ね猿飛」

「どさくさに紛れて酷いこと言わないで小十郎さん!」

カレーを頬張りながら
えぐえぐ泣く佐助に
小十郎はざまあみろと
鼻で笑ってやった。

予礼のチャイムが鳴ると
小十郎は立ち上がり
「輝宗先生に呼ばれてる」と
恋する乙女の顔で
食堂を出ていった時は
政宗と幸村は少しだけ
佐助が可哀想になった。














カスタードの誘惑

(頑張れ佐助)














後書き→
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ