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□最期まで愛した貴方
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あの日、俺は死んだ。
貴方だけを残して、死んだ。
最期の瞬間まで貴方の顔を
見ていられて幸せでした。
でも、貴方は泣いていた。
俺の右手を握り締めて
大声を上げて泣いていた。

ああ、そんなに泣きなさるな。
目が腫れてしまいますぞ。
貴方はもう一人ではない。
梵天丸様だった頃に
戻ってはいけませぬ。
俺は力を振り絞って
貴方に微笑んだ。

貴方はそれを見て泣き顔を
ぐしゃぐしゃにして
精一杯に笑った。

「小十郎」

「なあ、小十郎」

「今までありがとな」

「ほんとに、ありがとな」

「お前がいなかったら俺は梵天丸から抜け出せなかった」

「泣いて部屋に閉じ籠ってばかりだった」

「俺を叱ってくれてありがとう」

「俺をしばいてくれてありがとう」

「俺をちゃんと正面から見てくれたのはお前だけだった」

「ごめんな、」

「俺はお前になにもしてあげてないよな」

「なのにお前、俺より先に逝っちまうんだよな」

「ごめんな、ごめんな」

「こんな俺がお前のこと好きでごめんな」

「愛して、ごめんな」

「好きだ小十郎、大好きだ」

「だから約束してくれよ」

「来世で俺はお前を見つけてみせる。だから、」

「勝手に恋人作んなよ?」

「好きなやつ作んなよ?」

「元気でいろよ?」

「体調崩すなよ?」

「俺に会うまで死ぬなよ?」

「俺も誓うから、約束してくれ小十郎」

「愛してる」










はい、政宗様。














 
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