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□密室世界
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「小十郎〜vVポッキーゲームしようぜ!!」

「はい?」

11月11日。
ポッキーの日。
ラブラブな恋人なら
一度はするゲーム。
隣に友人がいたら
回し蹴りが飛んでくる
ポッキーのゲーム。

授業が終わって、
そのゲームをやるべく
政宗はポッキーを
何刀流にもしながら
小十郎の教室に来た。

しかしその教室では
すでにそのゲームは
行われていた。
佐助がくわえたポッキーを
小十郎が赤面しつつ
今にも食べようと
していたのであった。
政宗に気付いた小十郎は
慌てて佐助から離れる。

「ま、政宗様っ!?」

「あーあ、惜しい」

完全に石化していた
政宗は佐助が残念そうに
呟いた言葉で我に返った。

「てめえ…命が惜しくねえみたいだな?」

「お〜怖っ。じゃあね、片倉さん♪またしようね」

「コラ逃げんなっ!誰がさせるかっ!」

政宗が捕まえようとしたが
身が軽い佐助は簡単に
ヒラリとそれを避けて
小十郎に手を振りながら
教室から出ていった。

「shit!逃がしたか」

舌打ちし振り返ると
未だに赤面しながら
申し訳なさそうに
縮こまる小十郎がいた。
あの佐助の事だから
なにか狡い事を言って
追い詰めたのだろう。
こんな小十郎を怒る
気にはならなかった。

「小十郎」

「は、い…」

名前を出来るだけ
優しく呼んだものの
小十郎はビクリとして
小さく返事をすると
恐る恐る政宗を見た。
上目遣いに涙目で
怯える小十郎に一瞬
理性が吹っ飛んだが
今は必死に耐える。
政宗は小十郎の前に座ると
ポッキーをくわえた。

「ん」

食え、と言わんばかりに
それを揺らしてみせると
小十郎は安心した様に
表情を和らげた。
その時政宗には小十郎に
犬の尻尾が見えた。
嬉しそうにバタバタと
上下に振られている。
なんだろう。
この可愛い生物は。

政宗が鼻血を堪えていると
小十郎はおずおずと
口を開いてポッキーを
ゆっくりとくわえた。
瞬間にばちりと
お互いに目が合って
途端に恥ずかしくなり
小十郎は視線を落とした。
それに気付いた政宗が
小さく笑うと小十郎は
ますます恥ずかしくて
首まで赤くした。

「来ねえなら俺から行くぜ?」

なかなか動かない小十郎に
政宗は痺れを切らして
返事も待たずにポッキーを
少しずつ食べ始めた。
みるみる短くなるソレに
小十郎は思わず体を後ろに
引きそうになったが
政宗の手が頭の後ろを
しっかり固定してしまい
更に引き寄せられる。

あっという間に
ポッキーは短くなって
あと一口で唇が
触れるほどになったが
そこで動きが止まった。
小十郎が政宗を見ると
意地悪そうな笑みが
目の前にあった。

小十郎は戸惑ったが
目をキツく瞑ると
一気に一口食べる。
政宗と唇が触れて
妙な達成感を感じた。

「OK!合格だ」

軽いリップ音をたてて
政宗が唇を離して
満足そうに笑った。
やっと終わったと小十郎が
ホッとしたのも束の間。

「第2ラウンド。行くぜ?」

「もう勘弁してください!」

廊下に小十郎の悲鳴が
響き渡りました。












(つまりそれは二人だけの世界)












 
 

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