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□神様失笑
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「い、やだ…」

「悪足掻きはよしたまえ。私とすれば良いだけで卿は愛しい恋人と帰れるのだ。それにテストは合格となる…一石二鳥だろう?」

政宗様と帰れる。
テストは合格。
一石二鳥。
ぐるぐると沢山の言葉が
頭の中を廻っていく。

「それとも卿は分かりもしない問題と明日の朝まで睨み合うつもりかね?」

机に置かれた携帯が
再び音を鳴らした。
政宗様が待っている。
俺を心配している。

「っ早く、済ませろ…」

「良い答えだ、右目」

これも全てが松永の
計算通りなのだろう。
悔しくて唇を噛む。
その時、拘束していた
手が離れて代わりに
鼻と口に薄い布を
押し付けられた。

なにがなんだか分からず
苦しくて息をすると
目眩がするほどに
甘ったるい香りが
鼻を通っていった。

「媚薬だよ」

なにかと聞く前に
松永が答えを呟いた。
しかしそれもまた
絶望的な答えだった。

「てめぇ…っ!」

「なに、そんなに強いものではない。卿は私相手だと意地を張るだろうと思ってね」

松永を振り返り
なにか言い返そうと
口を開いたときに今度は
本当に目眩がした。
ぐらついた足元に焦り
無意識に松永の服を掴む。
小さく笑った声が
聞こえたが気分が悪くて
それどころじゃない。

ぐったりしていると
身体がふわりと浮いて
気付けば目の前に
教室の床があった。

「さあ、あの独眼竜に犯され尽くした卿を私にも見せてくれ…」

「あぁっ…!?」

後ろから松永が
耳元で囁いただけなのに
その低い声は背中を
甘く痺れながら駆け抜け
腰に重たく響いた。
媚薬が効き始めている。

松永が俺のズボンの
ベルトを緩めるのを
反射的に止めようとして
その手を掴んだが
全く力が入らない。
添えているだけの手を
気にかけることもなく
松永は着々と俺の
服を脱がしていった。

媚薬のせいなのか
脱がされても寒くなく
むしろ、暑い。
なにもされていないのに
身体中がじんじん痺れて
息が荒くなる。

「媚薬…強くないんじゃ、なかったのか…っ!?」

「強くない…弱くもないが、ね」

「なっ…!あ、やぁっ」

「おっと、」

松永が覆い被さって
きた時に松永のスーツの
ネクタイの先が
俺の背中を擽るように
かすめていった。
やはり嫌なぐらいに
感じてしまって
恥ずかしいやら悔しいやらで
涙腺が緩むのを感じた。

「卿はよく鍛えているな…腰は細いが」

「やっ…!は、ぁあ、ぅ…」

松永はネクタイを取ると
腹筋から腰にかけて
いやらしい手付きで
ねっとりと撫でる。
その度にビクビクと
身体が感じ取ってしまう。
その快感は確実に
下半身に伝わっていく。

こんなことだけでも
感じてしまうのに
入れられた時には
どうなってしまうのだろう。
それを考えたら
怖くてたまらない。

「可哀想に、震えているな…怖いのか?右目」

「う、るせえっ!早く、終わらせろ…!」

政宗様が待ってる。
そう思ったらこんな事
痛くも痒くもない。
そう自分に言い聞かせて
顔を横に向けて松永を睨む。
松永は相変わらず
愉しそうに笑っている。

「そう焦るな。言われずとも早く終わらせる…キツいのは卿だがな」

「な、に…んぁっ!?」

なんの前触れもなく
松永の指が後ろを
まさぐり始めた。
ぐにぐにと肉を広げて
奥を目指していく。
気持ちの悪い感覚に
歯を食いしばり耐えた。

そして、突然目の前が
真っ白になるほどの
刺激が身体に走った。
ビクリと腰を震わせた俺に
松永がフッと笑った。

「ここが良いのだな、右目」

止めろ、と言う前に
二本の松永の指が
容赦なくそこを突く。
あまりに強い刺激に
恐怖が押し寄せる。
それでも松永の指は
止まることなく
激しく責め立てる。

「ああぁ…っ、いやぁっ、松な…っ、ひゃ…!」

「早く終わらせたいのだろう?優しさは不要だと思ったのだが、不満かね?」

「ぐっ…う、ぁあ」

早く終わらせたい。
だけど、まさかここまで
辛いことになるなんて。
もはや我慢していた
涙はポタポタと床に落ち
息もろくに出来ない。
嗚咽と喘ぎの混じった
声が響くだけだ。

ずっと良いところを
突かれて簡単に
絶頂へ登り詰めた。
こんな奴にイかされる
自分が情けなくて
悔しくてなによりも
政宗様に申し訳なかった。
政宗様に会いたい。
ただそう思った。

すると、ピタリと
松永の手が止まった。
絶頂の寸前で止まられて
困惑していると
更にはずるりと
指が抜かれていった。

「卿も疲れるから何度もイきたくはないだろう?それだけの事だ」

「…っ!」

ぐいと肩を掴まれて
起き上がらせられる。
松永を睨み付けると
「良い顔だ」と呟き
椅子を1つ持ってくると
ただ、そこに座った。




 
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