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□無意識小悪魔
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最期まで愛した貴方の続き
伊達政宗・先生→25歳
片倉小十郎・高3→18歳



―――――――――………



「なあ、小十郎〜」

「はい、政宗様」

「お前一体いつまで俺を待たせる気だこの野郎。悪魔か。小悪魔ちゃんかお前は」

「なんの事ですか」

伊達政宗、25歳。
英語担当、教師。
彼は今壮絶に悩んでいた。
その原因は彼の隣を歩く
片倉小十郎、18歳。
高校三年生。

政宗より背は低いものの、
その体格は高3とは
思えない程に鍛えられて
しっかりとしている。
顔もキリッとしていて
明らかに可愛い部類ではない。

しかしそんな小十郎に
政宗はゾッコンなのだ。

政宗と小十郎は前世で
人生を共にして、
お互い無くてはならない存在で
そしてなによりも
愛し合っていた。

そんな二人が来世という今で
やっと出会えたのだ。
年齢は逆転していたが
政宗は大満足していた。
年下であることによって
小十郎に敵わないことが
沢山あったからだ。

お互い記憶も残っており
勿論二人は変わらずに
付き合い始めた。
同棲もしている。
だがしかし。

「(一回も、ヤれてねえ、なんて)」

政宗はその場で
頭を抱えたくなった。
そう、二人は来世で出会って
まだ一度も致していない。
前世では何度も何度も
体を重ねていたのに。

政宗は正直毎日限界であった。
愛しい人が自分よりも
年下という姿で
いつも隣にいるのだ。

そんな政宗を知ってか知らずか
いつものように
一緒に帰る学校の帰り道を
小十郎は平然と歩く。

「〜〜っ(あぁあもう…)」

悶絶する政宗。
そんな彼の視界に
ふと目に入ったのは
ラブホの看板だった。

こうなれば、と政宗は
人生最大の覚悟を決める。
ラブホの入口の目の前を
通り過ぎる瞬間に
小十郎の腕を掴む。

「っ!…政宗様?」

「なぁ、小十郎!ラブホ!入ろうぜ!」

直球であった。
いつ飛んでくるかも分からない
拳に目を固く瞑って
少し身構えながら
小十郎の返事を待つ。

しかしいつまで経っても
小十郎の返事はない。
うっすらと瞼を開けば、
目の前にいたはずの
小十郎がいなくなっている。
怒って帰ってしまったか。
政宗はがっくりと
一人、肩を落とした。

「政宗様、政宗様!」

しかしそれと同時に
政宗の後ろの足元から
小十郎の声がした。
驚いて振り返ると小十郎は
ラブホのメニューやらが
書いてある看板を
まじまじと見ていた。

「政宗様。休憩と宿泊がありますぞ。どちらにいたしますか?」

「えっ…えっ!?」

「どうしました?」

キョトンとする小十郎に
政宗は慌てて首を振り、
「宿泊!」と叫ぶ。

「では、参りましょうか」

あまりに普通に小十郎が
事を進めるものなので
政宗は慌てて引き留める。

「ちょ、お前本当にいいのか!?ラブホだぞ!大人のホテルだぞ!」

「らぶほ、というものを小十郎はよく分かりませんが、なにやら色々グッズやら遊ぶものがあるのでしょう?明日は土曜日ですし息抜きにはなりますよ」

「oh………」

なんということだろう。
この無駄に純粋な堅物は
ラブホを知らなかったのだ。
だがしかし、政宗には
思わぬチャンス到来だ。

「ぃよっしゃー!小十郎!朝までヤりm…遊びまくるぜ!」

「はい!(ふふ、政宗様…こんなにはしゃいで…それにしてもラブホとはなんなのだろう)」

すれ違いをよそに
二人はラブホの中へと
消えていった。





 
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