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「気をつけて帰るのよ、昌浩。」
「姉上、お大事に。」
「ありがとう。」
「おい、早苗。晴明に言って誰かお前につかすか?その様子だとしばらく熱も下がらないだろう?」
それに今日は妖気を大量に浴びた。
真っ白いもののけのもっくんが、早苗を下から見つめる。
赤い瞳が、早苗を心配してくれていることが分かった。
「大丈夫よ。神将たちも忙しいし…それにすぐに治るわ。
ありがとう、もっくん。」
少し動いたことによって、すっきりしたことは事実だ。
だが、やはり熱は下がっていない。
「あ、昌浩。これ、彰子さまからお礼にって。」
そう言って、開いた扇を昌浩の方に向ける。
扇の上には小さな子袋が乗っていた。
「これは?」
「彰子さまがお作りになった匂い袋よ。
いい香りでしょう??」
早苗の言うとおり、匂い袋からは優しく甘い香りがした。
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