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異形のものの襲撃からしばらくたっても、早苗の熱は下がらなかった。
むしろ、悪化していっているようにも思える。
「気分はどう?」
彰子も、他の女房もたまに見舞いに来てくれるが、ほとんど眠っていた。
今日は彰子が来てくれている。
久しぶりに起きていたので、彰子と目が合うとにこりと笑いかけてくれた。
「あ、彰子さま。うつってしまいます…」
「大丈夫よ。私、身体は丈夫な方なの。
それにしても、長引くわね…」
「やはり、先日の妖気に触れたのがいけなかったのかと…」
晴明からも身体を案じる文が来ていた。
昌浩は、もっくんをたまに寄こしてくれる。
みんなに迷惑をかけていることは十分に分かっているのだが、身体が言うことを聞かない。
(どうしてこんなにも長引くのだろう。)
特に体調を崩す心当たりはないし、生まれてからあまり病気をしたことがないのだ。
それ故、周りの心配も倍以上。
身体への負担も倍以上かもしれない。
「にゃーお。」
枕もとでは牡丹が心配そうに鳴き声を上げた。
「牡丹も心配なのよね。」
おいで、と牡丹を自分の膝の上に呼びながら彰子は言った。
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