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予断ではあるが、昌浩と彰子が初めて会った日の夜、もののけのように牡丹は喋らないのかと聞かれたことがある。

喋ることは喋るのだ。
ただ、人間に変化すればいいだけ。



あまりここでは人間になろうとしないため、喋る機会がないだけなのだが…

牡丹も尾が二つに割れていること以外は普通の猫だ。



そのことをふと思い出して、彰子の膝の上で気持ちよさそうになでられる牡丹を眺めた。






「一度、宿下がりする?このままだと早苗がかわいそうだわ。」

「大丈夫です。それにまたあのようなことになったら、私が彰子さまを守らなければ。」


「でも…」


不安そうな顔をする彰子に向けて早苗はできる限りの笑顔を向けた。









彰子が部屋を出ていくと早苗は、ほぅ…とため息をついた。

「牡丹…また、夢を見たの。」



最近頻繁に見る夢。
陰陽師の見る夢には何らかの意味を持つ。




「牡丹、ちょっとおつかいお願いしていい??」






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