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「お体の具合が良くないのでしょう?それならば、今日はもうお休みください。」
「で、でも…この書物は昌浩も必要になる。そのときにあるべき場所にないと、昌浩が困るから…
彰子様のこともあるし…」
顔色もあまり優れない、それに少し声にも覇気がない。
自分でも身体の不調は分かっているはずだ。
「ですが…あなたのお身体が良くないと、藤の姫は守れませんよ。」
「分かってる…
でも、原因を探らなければ一番良い対応もできない。
お願い、これを読むまでは!」
必死の早苗をみて、太裳は静かに早苗の隣に移動し、まだ開かれていない書物を開いた。
「お手伝いいたしますから。
終わったら早くお休みください。」
「ありがとう!!」
「何を、探しているのですか?」
「ねずみの体にかめの首、それと…犬のような鳴き声だった…
彰子様を襲おうとしていて…昌浩が助けてくれたんだけど…」
「この書物の中にその答えがあるというのですか?」
「昔少し読んだことがあって…そのとき異国には珍しい妖がいるのだと思ったことを思い出したの。
それに…この国にあんな妖はいないわ。」
太裳はうなずき、書物に目線を動かした。
しばらくは書物をめくる音しか聞こえない。
ほどなくして、目当てのものは見つかった。
「これではないですか?」
「蛮蛮?」
絵とともに妖の説明書きが添えてある。
早苗がいま言ったものも同じだった。
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